Entries by yokichi

レールを敷く人

時代が変わって、マニュアル通りに努力しても、マニュアルに書いていない事が起こるようになった。言われたとおりに勉強したのに就職氷河期だし、言われたとおりに「人気の会社」に入ったのに会社は傾くし、言われたとおりに仕事をしてきたのに転職時にアピールする事がない。困った・・・ 今がチャンスだな、と思う。 時代が変化している流動的な時にこそ、それまで弱い立場にいた人にもチャンスが回ってくる。過去の思考パターンを捨てられない人たちがパニックに陥っている間こそ、これから面白いチャンスがまわってくると思う。 日本には新しい船を 日本が「沈み行く船」なのはみんな知っている(船=老朽化した枠組み=戦後に作り上げられた政治システムや経営システム)。この古い船はもう今の荒波を渡れなくなり穴だらけになった。残念ながら、穴を塞ぐにも水が入りすぎていて、この船を救うことは手遅れだろう。 日本という、僕たちの大きな船。これが沈んだ後に何が起こるのだろうか?さしあたって、乗っていた国民は、驚いて海に飛び出すしかない。大海原でつかまるところがない恐怖にパニックし、ひとしきり路頭に迷った後、落ち着いた頃に国民は何をするのだろうか? 出来る事は一つしかない。海原を見渡し、新しい船を探すのだ。これまでの政治のやり方、経営のやり方ではない、時代にあった仕組みを生み出せる人たちが作った、しっかりした船を見つけて、飛び乗るのだ。 その船の姿はまだ見えていない。欧米やアジアのいいところを日本文化と融合した新しいものなのかもしれない。でもはっきり語るには早すぎる。 ただ、どんな人がその船を作れるのかは大体わかっている。それは、レールを敷くことが出来る人だ。 頭を切り替えよう (もはやレールはないし、船はどうせ沈む) 戦後、日本人はGHQにしかれたレールを、アメリカに「追いつけ、追い越せ」の精神で、レールどおりに歩いてきた。この言葉自体がレールの存在を前提としている。当時の資源のない日本にとって、やらなければならないことは分かっていた。それは安くて付加価値の高い必需品を製造し輸出することだった。 日本はろくに資源もない山だらけの小さな島国であり、本来他の国より恵まれたところはない。しかし、日本人は、レールが敷かれている時(明確な目的がある時)の実行力がずばぬけて高い。世界大戦でもやたら強かったが、経済成長でも圧倒的な強さで第二次産業のリーダーになった。80年代にはレースの先頭にたどり着き、前人未到の領域に到達した。 レールの先端まで来たその瞬間に、日本はレールを敷く側に回った。 そこで問題が起こった。明確なゴールに従って、誰かが敷いたレールを忠実に、踏み外さないようにリスクを回避して歩くようにトレーニングされた日本人は、先頭で何をすればいいのかわからなくなったのだ。地図どおりに歩くために必要な能力と、道を作りながら地図を描くのに必要な能力は全然違うので、アタマを切り替えなければなければならない。しかし、日本は未だに、旧来の思考回路を将来に当てはめようとしている。 想像してほしい。未開の地を開拓しようとしている冒険者が、「安全を確証できる確実なデータが得られるまで進めない」といったら、前進できるはずがない。誰も行った事が無い道に関する確実なデータなど、誰も与えてくれないのだから、そもそも安全の確証などないのだ。 当たり前だが、「安全確認」でオロオロしていたら、日本にはガタがきて、日本人は完全に路頭に迷うことになった。そして、失われた20年が始まった。バブルは終わり、日本の輸出力は衰え、過去の勝ちパターンは全く将来を約束してくれない。人口が減るし、明らかに成長が期待できる産業などない。どっちに進んだらいいのかも分からないのに、官僚は成長戦略を作れるものだと思って、何十年も頭をひねっては、おかしいなあ、うまくいかないなあ、と嘆いている。当然だ。日本の仕組みは未だに経済が順調に成長し、将来が予測できる事を前提に設計されているのだから、行き詰るに決まっている。 年金システム、社会保険、雇用規制、終身雇用、年功序列といったものの全てが、将来が予測できた30年前のあの頃のためのものだ。大人たちは未だに過去の成功に従うと将来が約束されると思って疑っていないし、子供たちは未だに与えられたレールを踏み外さずに歩けば成功すると信じるように教育されている。 ちなみに、なぜこんなおかしいことが変わらないのか。おそらく日本では、上記のような前提で育てられた優秀な人材がこの老朽化した仕組みを延命するのに回っているからだ。日本では最も優秀な人は過去に成功した企業の過去に成功した部門に投入され、これからダメになるものの延命をする。それが「花形」のキャリアなのだ。官僚がしているのも同じ事だ。 僕には、「もう沈むことが確定している船の穴を塞ぐ事」が、ほとんどの日本のエリートの仕事のように見える。彼らが優秀だからこそ、本来とっくに沈むはずだった船がまだ浮かんでおり、苦しみがじわじわと続く。 ただ、こんな不自然なことを続けるのには限界があると思う。多くの人が本心ではわかっているように、ガラパゴス的なものは次々淘汰され、日常の仕事の多くが中国やインドにオフショアリング・アウトソーシングで持っていかれ、クラウドコンピューティングがIT産業を破壊し、資産は中国人に切り売りされ、日本人が売っていたプロダクトはサービス化されていくし、デジタル化と中抜きで産業構造はまだまだ変わっていく。少子高齢化は恐ろしいほどの速度で進んでいく。この荒波に、今の船が長く耐えられるはずがない事は、みんな知っているのだ。 どちらにせよ、放っておけばそのうち船が沈むのは時間の問題だろう。 レールを敷く人になろう 新しい船を作る人は、レールを自分で敷くことが出来る人となるだろう。先頭に立った日本には、リスクをとって不確実なことに挑戦し、新しい日本の未来を描くことができる人が必要なのだ。 レールを敷くためには、「正解はまだ存在しないという前提で、自分の頭で考え、とりあえずやってみて、失敗しながら学ぶことで、正解に近づき続ける」という、勇気と根気が必要だと思う。これについて、僕はしつこく言っているので、いまさら付け加えるつもりはない。(参考: 「すごい事は、やってみなければわからない」  「失敗のプロ」  「The Mind of Entrepreneur」など ) 「もっと具体的に、どうすればレールを敷く人になれるの?」という質問をしてはいけない。自分の問いに自分で答えを出すのが、レールを敷く人の最低条件なのだ。「ここまで書いて、正答がないのかよ、うぜーな」とすぐ考える人は、「レールがなかったら歩けないじゃないか!」という思考自体についてよーく考えたほうがいい。まずは人に頼れば正解が与えられるという幻想を捨てることが第一歩だ。マニュアルは自分で作るのだ。 幸い、僕の周りにはレールを敷くことができる将来のリーダーがたくさんいる。「すごいことがやりたい」という彼らの目の輝きを見ていると、日本も捨てたものではないと思える。きっと、僕たちにはすごい船を作ることができる、という気がしてくる。 いろいろな人がいる。不確実なビジネスチャンスに挑戦し、まだ存在しない新しい付加価値を創造するために突き進み続けるアントレプレナー(起業家)たち。常識が通じない海外の環境で、視野を広げている留学生たち。日本の安定した労働環境を捨てて、解雇隣り合わせの海外で働く人たち。世界一周する若者たち。みな、マニュアル通りに生きていれば安泰である才能を持ち合わせているのに、不確実性の中で暗中模索している。過去のデータに頼らず、未来を作ろうとしている。 もちろん、僕の統計サンプルが偏りまくっているのは間違いないが、それでも彼らのような人は日本中にいるのだ。こういう人たちと一緒にいると、エネルギーがわいてきて、自分にもすごいことが出来そうな気がしてくる。 今がチャンス! 時代の変化についていけず、路頭に迷っている人の多さを見ると、今がものすごいチャンスだと思う。 こういった時代が変化するタイミングにこそ、凡人にも面白いことができるのだから、すごくワクワクする。ちょっとだけ、一歩先のために準備しておけばいいだけだ。それだけで、面白い人にどんどん出会って、面白い事をどんどん生み出すことができる・・・すばらしいタイミングだなあ、とつくづく思う。 そのうち、「大多数」がこれに気づいてマニュアルを捨てだしたら、それが当たり前になる。レールを敷く人が有り余った社会になってしまう。そしたら、また全然面白くなくなってしまうので、急いで面白い事をしたいと思う。 不確実な状況でがんばっているアントレプレナー、留学生、海外で働く人、がんばっている人がいっぱいいる。今はつらい事も多いと思うけれど、このチャンスを活かせるすばらしいポジションにいることを忘れずにいこう! まとめ もはやレールはないし、船はどうせ沈む!だからこそチャンスがあると僕は信じている。だから、僕はこうする。 船が沈まないほうに賭けない (不自然な事は続かない)。 船が沈んで路頭に迷うことを心配しない。どうせ沈むなら、準備するのみ。 どうせ沈む船の穴を塞ぐために生きない。墓標に 「私は沈む事がわかっている船を直すために一生を費やしましたが、やっぱり沈みました」 と書いて死にたくない。どちらかといえば、「彼ら」エリートと戦う側になってやる。 老人の既得権益について嘆かない。意味不明なインセンティブにより捻じ曲がった社会を維持することは長期的には不可能だ。若者がすっからかんになったら搾取することもできない。既得権益など、どうせ古い船と一緒に沈む。 レールが誰かに与えられると思ってマニュアルどおりに生きない。マニュアルどおりに行き詰る。 レールを敷く人になることを目指す!そのほうが、ずっと面白い。 というわけで、僕は「レールを敷く側」の皆さんを心から応援しているし、僕もそうありたいと心から願っています。

失敗のプロ

以前、端的に言うと「失敗するかもしれないから、やらないほうがいいか」という類のアドバイスを求められたので、これに対する僕の考えを述べてみたい。 こういう話をするとき、僕はいつも登山家のスキルとマインドについて考える。 まず、スキルについて。登山家というのは、何のプロだろうか?彼らに山を登るスキルが豊富にあることは間違いないが、僕は彼らが山を登るスキルのプロだとは思わない。彼らは失敗のプロだ、と思う。 険しい雪山にでも登るとしよう。登頂を目指すにあたっては、常に人の力ではコントロールできない危険が伴う。天候、遭難、怪我など、予測しきれない危険にさらされて、登頂が失敗に終わる事も多い。そんな中で、危険を冒して目的に突き進むだけでは、早死にするだけだ。だから、登山家は、山を登るスキルのプロである以上に、「失敗しても死なないプロ」である。予定外の事態が発生するシナリオを細かく想定し、何が危険なのか、どこで諦めて引き返すのかといった、失敗対策がしっかりできているから、危険な事に挑戦できるのだ。 次は、失敗のプロである彼らのマインドについて考えてみよう。「うまくいかない場合」ばかりを想定しながら、慎重に準備をしている登山家は、ネガティブ思考なのだろうか?僕はそうは思わない。そもそも、他の人が「そんな危ないことはできない」という事を、実現できる可能性を信じているから挑戦している時点で、かなりポジティブにも思える。楽天主義でも悲観主義でもなく、危険な目的に対して現実主義であるだけだと思う。 こうした登山家のスキルとマインドから僕が思うのは、「きっと成功する!」と思って本気で努力するポジティブさと、「基本的に失敗するものだ」と思ってあきらめる準備をしっかりしておくというネガティブさを共存させるのは可能だということだ。そして、不確実性が伴う事に挑戦する人には、このマインドセットが重要だということだ。 ちなみに、僕はアントレプレナー(起業家)に囲まれて生きている。彼らのスキルやマインドセットは、紛れも無く登山家のそれに似ている。成功するアントレプレナーは非常に優秀で注意深く、失敗の際の諦めが上手いし、基本的に無理である事に挑戦している事を知りながら「きっとうまくいく」と信じて全力でがんばる勇気を持ち合わせている。 「失敗するかもしれないから、やらないほうがいいか?」 僕には分からないよ。もちろん相手のことを理解していたら具体的なアドバイスをする事はあるけれども、そうでない一般的な話の場合は、当人の自信と、勇気次第だとしか言えない。 難しい事を実現できると、自分を信じることが出来るのか。実現できると信じて全力で努力しつつ、失敗したらそれはそれだと受け入れ、次の道に進む準備と覚悟はあるのか。誰にも不確実性を消すことはできない。答えは自分の心の中にあり、自分は何を信じられて、自分は何を受け入れられるのかによって決まる。 失敗しない事が確実な事をしたいなら、挑戦などしないほうがいい。山の向こうに新しい世界が広がっていることに興味がないなら、遠くまで同じ光景が見渡せる平野を進み続けたらいい。 僕にはこういう質問に正しいアドバイスを提供することはできない。山に登りきって何かを成し遂げた気になって死のうと、山を登る途中で失敗して死のうと、平野で平坦な道を進み続けて死のうと、本人の勝手だから。「山を登るのは、そこに山があるからだ」というように、目の前に何があるのが人生かを決めるのは自分であって、理解される必要も共感される必要もない。 目をつぶったときに広がっている光景は、山頂か、平野か。それのどちらがいいかなんて、他人には決められない。だから、「一度しかない人生を、自分はどういう風に生き、死にたいのか?」・・・それが正しい問いなのだと思うよ。

Willingness to lose

人から信頼を得るためには、枯渇しているものを与えられなければならないのではないだろうか。 例えば、金がないなら喜んで金を渡せなければならない。時間がないなら喜んで時間を使えなければならない。逆に、余っているものをいくら与えても、そこには犠牲が伴わないので、愛情のにおいがしない。 金銭的に成功しているのに家庭が不幸なのを見かけるのは、そういうことなのかもしれない。 金銭的な成功者には時間がないことが多い。よって、家族が求めるのは金ではなく時間だ。家族だってその人が忙しいのは知っている。それでも、その人自ら家族のためにお土産を買う時間を使ってほしいものであり、子供は一緒に遊んでほしいものなのだ。逆に、あり余ったお金をいくら家族に注ぎ込んだとしても、家族の寂しさは本質的には満たされない。もし、成功者が「金は出した。責任を果たしている。家族に文句はないはずだ。」と思うのであれば、その思考回路自体が家庭を不幸にしてしまうかもしれない。確かに言っている事は論理的には正しいと思う。でも、人の寂しい気持ちというものは、そういう論理では片付かないのものだと思う。 一方で、本当に時間がない成功者が、非常に明るく円満な家庭を持っていることもある。先ほどのパターンと違うのは、本人は日ごろは仕事を優先していたとしても、「いざとなったら」家族を優先する覚悟が明確にある。 実は、普段何かを与えているかよりも、その覚悟そのものが大事なのだと思う。家族だって搾取したいわけじゃない。わかってほしいだけなのだ。いつか何かあっても、いざという時に信じられる相手だと思いたいのだ。人というのは、平穏な日常では本性がでないものだ。でも、いざとなった時、欲望や恐怖と向き合った時に、覚悟が行動を左右する。そういう時に何を優先する人なのか?そこで日ごろからしっかりとした覚悟を持っている事が大事になるのではないだろうか。そしてそういう覚悟というのは、普段の何気ない言動から伝わるものなのだと思う。 今回はたまたまお金と時間の話をしたが、枯渇しているものが何であっても、余っているものが何であっても、同じことだと思う。いざという時相手のために自分のために大切なものを失う覚悟がない人を信頼するのは、誰にとっても難しいものなんじゃないかな。 大切なものを失えるのは、相手がもっと大切だから。だからこそ、喜んで失おうとする態度が、信頼を生み出すのだとおもう。 僕はまだまだ未熟者だが、これから例え何を手に入れたとしても、大切な人のために、枯渇した大切なものを、迷うことなく失える人でありたい。

おなじみ検索ワードのお時間です (2010/8-2011/2)

お久しぶりです。 根暗な皆さんと僕との愛の語らい、検索ワードのお時間です。 このブログに、どういう検索キーワードでたどり着いたのかを求められないまま不定期に分析し、報告いたします。 今回は不覚にも半年ほど放置したために、検索回数は約3万、検索ワードの種類は約6千。もー無理無理、全然無理!!!全てに目は通せておりません・・・。 素人の皆さんは、参考までに前回の検索ワード発表をおさらいしましょう。どのように僕が個人攻撃を受けているのかわかるでしょう。暇な人は、もっと昔のもあります。2009/3、2009/5、2009/7、2009/10、2009/12など。 また、前回登場した「古賀洋吉 朝鮮へ帰れ」と検索したのは、韓国人の後輩である事が判明しました。お前が帰れ。 さて、そんな事を踏まえつつ始めましょう。 トップキーワード ランキング 今回のランキングは、「ハーバード大学 偏差値」「古賀洋吉 でぶ」など、ツッコミ済みのものがほとんどだ。でぶの息の長さにも驚くが・・・。あとは、ふつうに僕を探しているものが多い。 そんなわけで以下、あまりサプライズがない、トップ10の発表です。 ハーバード大学 偏差値 愛の日記 古賀洋吉 愛の日記 ボストン ハーバード mba 古賀洋吉 でぶ yokichi 古賀 洋吉 古賀 ボストン 古賀洋吉 抱きしめて ♥\(^ー^)/ ・・・最後のお前は何だ? 抱きしめないし。 それにお前、絶対男だし。 一人で何回も検索してランキング操作する寂しい男を抱きしめるわけねーっつの!!!!女だったとしてもそれはそれでキモいわ! しかし待て。こいつだけではない。これまで僕を散々罵倒し続けているお前たちは、変化球として媚を売り始めた。以下の検索ワードを見ろ。 媚を売る系 yokichi 好きです yokichiさんみたいな男性いないかしら yokichi がんばって 古賀 洋吉さん、好きになってもいいですか? 古賀洋吉 好き 古賀洋吉 実はあんまりデブじゃない 古賀洋吉 男前 古賀洋吉 素敵  古賀洋吉 結婚して […]

学生にはスキルを

今回は学生時代のバイトについて書いてみる。 僕が就職するときはすでに氷河期だとか言われていた頃だったが、その後も多少の変動はあるが就職活動は大変になる一方。とても厳しい時代がきたものだ。 でも、そういう時代だからこそ、貴重な大学生の時のバイトを通じて、たくさん勉強するといい、と僕は思っている。 実は、僕は大学生時代に就職活動をほとんどしていない。アクセンチュアの戦略グループしか入りたい会社がなかったので、そこと、一応別の外資系経営コンサルティングを一社受けたぐらいだ。両方とも、わりとあっさり内定をもらえた。 もちろん、運もよかったと思うが、おそらくアクセンチュアの戦略コンサルタントとして僕の大学から新卒で入ったのは僕が初めてだったと思うので、きっと運だけではない・・・かも。 じゃあ何が大事だったかというと、きっと即戦力となるスキルだったのではないだろうか。 僕は大学生のころ、仕事ばかりしていた。ネットワーク構築、プログラミング、営業、提携交渉、海外出張、セミナーの仕切り、なんでもやった。大学におけるインターネット教育の立ち上げプロジェクトの仕事では給与が出ている時間の3倍は働いていたし、留学中もその仕事は無給で続けていたし、ベンチャー立ち上げの時は毎日終電まで仕事していた。それでも、職場の人はみんな優秀で、僕はいつも取り残されている気分だった。学校は仕事の合間に行くのだが、通学の電車でも自然と意味が分からないままビジネスの雑誌などを読んで、なんとか追いつこうと勉強をしていた。 こんな毎日をすごしていたら、さすがの僕でも自然と即戦力が身に付いていたらしく、就職活動したら、周りの学生があまりにビジネスに疎いのに驚いた。グループディスカッション面接などでも、みなさん頭はよさそうなのだが、ミーティングの仕切りも慣れていないし、ビジネスの現場を知らないので議論が本質をついていないように思えた。 面接でプレゼンがあったときも、いつもどおり資料を作って説明しただけ。面接は、いつもしている仕事について説明しただけで、どのゼミで何の論文を書いてサークルや部活で何のリーダーシップを発揮していたかなんて話は全くしなかった。なんだか、転職の面接みたいだった。 きっと、「こんな学歴の奴は取ったことがないが、すぐに使えそうだから取るか」と思われて、例外的に入れてもらえたのだと思う。 学生のときは特に深い考えも無く仕事していたが、今思えば、あれがなかったらきっと僕は普通に学歴にあわせた人生を過ごしていたのかもしれない。 というわけで、そんな僕が学生時代の仕事から学んだことを、ばらばらと書いてみる。あまり整理してませんがご了承を。 人生はスキルで分岐する 学生時代は時間があってスキルと金がない。 スキルのある社会人は金があって時間がない。 スキルのない社会人はスキルも金も時間もない。 結局、人生が何によって分岐するのかというと、金ではなくスキルだ。社会人になったらどっちにしても時間はないので、時間がある学生のうちにスキルを高めるのに時間を使ったほうがいいと思う。どうせ学生の稼ぐ金など、スキルのある社会人が稼ぐ金に比べたら少ないし。 だから、若いうちほどスキルに集中すべきではないだろうか。 学生時代はちょっとしたスキルで差別化しやすい 金を持っている学生はいっぱいいるが、スキルを持っている学生はほとんどいない。学生時代に本当に枯渇しているのは金ではなく、スキルなのだ。だから、簡単に差別化できるような気がする。 人生の、時代時代で変わる「枯渇しているもの」 をしっかり押さえる事ができれば、とても簡単に差別化ができる。 僕は、足が遅いなら、スタートが早けりゃいい、と思うのでした。 「おいしくない」のは金にしかならないバイト マイクロソフトで時給1500円で働いても勉強にならずやる気にならなかったが、その後ベンチャーで時給800円で働いたら、どんどん責任範囲が広がって、よっぽど勉強になった。 時給が800円だろうが3000円だろうが、スキルの重要性の前では誤差の範囲だと思う。僕は勉強になるバイトがあるなら、時給800円で4倍働く。それが本当の「おいしいバイト」だ。時間を無駄に消費して金にしかならない仕事が一番おいしくない。 よりスキルがつく仕事を求めてステップアップし続ける 「おいしい」バイトにはすごく優秀な連中が集まってくるので、彼らにもっと面白い仕事を紹介してもらえたりするものだ。そういう良いサイクルに持っていくのが大事だと思う。 早い段階ですごい人と付き合う事を意識する 僕の周りをみると、すごいなーと思う人の多くが、若いうちから付き合っている人のレベルが高い。僕も感じたが、やっぱり周りのレベルが高いと、そのカルチャーに染まって自分の視点が(ほとんど強引に)引き上げられるのだ。 逆に、「こうなりたい」という人が回りにいない仕事は一刻も早くやめるべきだと思う。まわりのレベルが低いと、いつの間にか自分もそのレベルになってしまうものだ。環境が与える影響はすごい。 惰性で続けない! 今思うと、無駄な仕事したなーと思うものもある。友達と仲良くなったとか、やりかたが身についたとか、そういう惰性で続けてはいけないね。 あと塾の講師とかも、金になるだけであまり僕には役に立たなかったと思う(人によっては役立つと思うけど)。あれは、とっととやめてよかった。 「仕送りがないから、スキルを優先するなんて無理」? もちろん、事情があってお金がたくさん必要だ、ということはある。しかしそれでも、よりスキルがつく仕事を模索するのをあきらめていい理由にはならない。同じ金額ならよりスキルが付くほうを選ぶべきだし、今と同じ金額でもっとスキルが付く仕事というのは必ずあるので、探すのをやめてはいけないとおもう。 「環境に恵まれていないから、スキルを優先できない」という話はわからないでもない。ただ、残念ながら、社会人になったって環境なんて永遠に整わない。学費も仕送りもないかもしれない。でも、人によって状況が違うのも仕方がないわけで、社会人になったら環境も含めて自分でなんとか切り開かなければならない。誰も何もしてくれないのであれば、遅かれ早かれ置かれた環境を前提に自分で工夫する事を学ぶしかないんじゃないかな。 僕の場合は、大学時代はジュース一本買うのもけっこう我慢していたし、飲み会に行くお金もなかったけど、貧乏は慣れれば大丈夫だった。何ができないかを気にしても仕方が無いので、今何ができるのかにフォーカスするべきだと思うな。 ・・・というわけで。 僕も同級生のみんなが楽しそうに遊んでいるのに仕事ばっかりだったのはさびしいと思うところもあるので、みんなにこういうことをお勧めしたいとも思わない。きっと優秀だったらこういうことをしなくてもポテンシャル採用とかしてもらえるんだと思う。 それでも、こうして色々と学生時代にやってみたことは、確実に今の僕を助けてくれているし、本来僕ができそうにもないことを実現する道を与えてくれてきた。 今は就職するのがとても大変な時期。厳しいことを言いたいわけではないが、正直な気持ちとして言うと、きっと、これからも大変になる一方だと思う。 だから、後で少しでも楽になるように、ぜひ吸収力が高いうちにいろんな事を学んでおくと良いのでは・・・と思うのでした。 誰かの参考になればということで。

就職先の人気ランキング

Fortuneで100 Best Companies to Work For が発表された。アメリカの会社にとって、こういうランキングに掲載されるのはとても誇らしいことであり、リクルーティング担当の自慢のネタである。 ところが、日本ではあまりこういう「すでに就職した人によるランキング」はあまり興味をもたれない。多くの人が転職しないので、そもそもあまり重要ではないのかも。代わりに大事になるのが、「新卒の就職先人気ランキング」だ。こういうのはいっぱいあって、これとかこれとかこれとか、いろいろなところが発表している。 そもそも「他人がやりたいことランキング」で仕事を決めること自体が意味不明という話もあるが、そうでなくとも社会人経験ゼロの学生による人気企業ランキングを参考にするのはどうだろうか。自分を振り返ると、大学生時代の自分の思考レベルで将来を決めるなんて恐ろしい。 ちなみに、こうした日本の新卒学生による人気ランキングの傾向と、Fortuneの人気ランキングを比べると、日本の新卒学生のランキングのほうが時代遅れに見える。Fortuneのランキングは、現在をよく反映していると思うし、30代でバリバリ働いている連中から見たらそんなに違和感のないリストに見える。しかし、日本のランキングは違和感ありまくり。「これ、親の世代が考えるランキングじゃないの?」と思ってしまうほど、一昔前のにおいがするのだ。親に相談して決める人が多いから? このランキングを見たマスコミは、「今の学生はリスク回避型だ」と言っている。でも、僕から見たらむしろリスクが高い仕事ばかりだ。具体的にどの企業がどう、という話をするとまた怒られるので言わないが、僕が安定したいならできるだけ避けたい企業・職種ばかりである。 僕がリスクが高いと思う理由: 内需主導型の安定企業なので一見安泰だが、海外展開能力が全然ない上に人口減と共に縮小するしかないので、20年後にはクビになりそう。 現在は規制に守られているが、どうせそのうち守られなくなって淘汰される可能性が高い。海外を見ると、大抵規制緩和と共に大量のレイオフが発生する業界。 まだ何とかブランドを保っているが、内需をターゲットに、同じような競合と価格競争ばかりしているため薄利でイノベーションが遅延し、気づいたら海外企業に淘汰される業界。 産業構造がシフトしていくので、これから「中抜き」されて、付加価値自体が消えていくことが明らかな業種。 赤字国債が発行し続けられない場合、増税だけで雇用が維持できないであろう職種=公務員・準公務員。 40代でクビになったら、再就職できるようなスキルが得られない仕事全般。 むしろリスク回避型どころか、あぶない企業ばかりが並んでいるように見える。もちろん、いいと思う会社も入っているけど。 ぶっちゃけ、「こういう仕事につけば、会社(政府)が守ってくれる」と一見みえる仕事は大抵あぶない。資本主義においては、誰かが守ってくれるというコストは誰かが払っているわけで、そういう不自然なコストを大量に支払っている企業・業界は長期的には不安定となる。 そもそも不安定というのは、「自分のコスト(給料)>自分が世界に生み出すバリュー」になったときに起こる。コストが伸びるなら、バリュー側も伸びなければならない。世界に生み出すバリュー側を伸ばすには、個人のスキルを上げるだけでなく、会社のやっていることに意味がなければならない。会社が変化しながら成長していなければならない。 結局、一番不安定なのは、このランキングにあるような「安定しているように見える」構造的な衰退企業で、与えられた仕事をやっているだけのぬるま湯の状態。皮肉だが、安定したいからと過去にすがり、自己変化を否定するタイプの学生こそが、もっとも不安定な立場にいることになるだろう。どんなに大きく、しっかり安定して回っているいるように見えても、回転速度が落ちていく駒は意外と簡単に倒れることを忘れないようにしたい。 「じゃあ、どの会社に入るべきなの?」という「正解」を欲しがる学生が多い。しかし、そもそも、「自分には正解が与えられるべきだと思っている」、つまり、「魚の取り方ではなく魚が欲しい人」のためにこういうランキングがあるので、そういう人は素直にマニュアルにしたがって、ランキング通りの人生を選べばいい。 一方で、自分で魚が取れるようになりたい人は、主体的に自分がやりたいこと、世界がこれから求めている事などを考えて、自分が求めるスキルを明確にし、そのスキルがきっちり学べるところに入り、継続的に自分がイノベートできる環境を選ぶ。そのプロセスは、こうしたランキングを見ながらどれが安定しているだろうと悩むことよりはるかに難しい。誰も点数をつけて評価してほめてくれたりしない。ぼんやりしていて意味が無いように思える。こんなもの他人に任せたいと文句をいう人も多いだろう。だから、とっても不安な道のりだ。しかも、残念ながら、就職した後もずっと続く。でも、それをやるかやらないかが、長期的にもとても大きな差を生み出すと思う・・・たぶん。まだ僕にも結論は見えていないで、言い切れないんだけど(笑) でも、ランキングみたいな他人の意見で思考停止せずに、自分で考える力を育てていきたいなと、思っている。

「最近の若者論」はいつの時代も無視すべき

最近、若者が内向きという記事を良く見るが、今も昔も、「最近の若者は~だ」という話を老人(正確には、非・若者?)が言うのは世の法則だと思う。こういうのはいちいち怒ったり反論していてもしょうがないと思うよ。 なぜなら、老人側のそういった主張は、ほとんどの場合、議論の前提となる認識がずれているからだ。 若者の行動が変わったのはその通りかもしれない。しかしそれは、ほとんどの場合において、老人自身の行動の結果、「環境が変わった」のであり、若者は「環境の変化に対応した」に過ぎない。 しかし、多くの老人は自分の行動で環境が変化したことにすら気づかないので、「若者の性質が変わった」というふうにしか見えない。 そもそも、ある世代の性質が、理由もなしに、突然まるごと内向きに変化するはずがない。内向きな行動を取るのが合理的だからそうしているだけだ。行動が変わった=だから性質として若者が内向きだとは言えないのだ。 他の例も含めて、そのパターンを見てみたい。 内向き批判 老人の常識: 車だ!テレビだ!家電だ!海外にどんどん売れるぞ!海外はカネになる。 環境の変化: 老人がガラパゴス・内向きな製品ばかり作り始め、海外から見向きもされなくなったので海外で学ぶメリットが減った。さらに、不景気で留学などへの時間・お金の投資のリスクが高くなった。 老人の反応: 「最近の若者って内向きだな。オレが若いときは違った」 若者の感想: 「人にとやかく言う前に、お前今すぐその正社員の地位を捨てて、会社やめて海外出てから言え。せめてガラパゴスとか言われている自分の内向きさに気づけ。」 ゆとり批判 老人の常識: 欧米にはゆとりがある!日本もゆとり教育をしないと出遅れるかも! 環境の変化: 老人はゆとり教育を実行しつつ、のんびりしていられない経済状況を作った。 老人の反応: 「出たよ、ゆとり世代。あいつらやる気ないんだよ。」 若者の感想: 「ゆとりなのはお前の頭だ。ゆとり教育しろなんてそもそも頼んでない。文句あるなら決めた自分が責任取れ。」 元気がない批判 老人の常識: いやーお金があって幸せ。 環境の変化:好景気が終了。でもお金は使い続けたいので赤字国債発行しまくって浪費し、若者にぜーんぶ払ってもらうことにしたので、搾取されるだけの若者は希望を失った。 老人の反応:「最近の若者は元気ないね。ニートとかいるし、情けない。オレが若いときは違った。もっと希望があった。」 若者の感想:「いいから、金返せよ。」 これらからわかるのは、こうした批判や煽りを繰り返している老人は、時代と共に常識が変化したことにも、その変化を起こしているのが自分なのにも、そもそも気づいていない。 ・・・でも、そういうものなのだとおもうよ。このメカニズムを理解していない相手に目くじら立てても、永遠に議論がかみ合うことはない。多くの人は、過去の自分と現在の若者の違いを否定することで、自分の世代には意味があったと思いたいのだ。それで、いいのではないでしょーか。 同様に、「今の社会は悲惨だ悲惨だ」という煽りも、本気で相手をしようと思うと、とても面倒くさいが、スルーすべきだと思う。 就職氷河期の煽り 老人の常識: 就職は簡単。就職したらあとは遊んでれば定年まで安泰だ。 環境の変化: バブルが終わった。 老人の反応: 「就職氷河期だ!」「超就職氷河期だ!」 若者の感想: 「頭の中がまだバブッてるから氷河期に見えるんでは。」 失われた20年の煽り 老人の常識: 日本は優れているので、景気が良くて当然だ! 環境の変化: 日本の高度成長期を踏襲した政治や経済の仕組みが時代遅れになった。 老人の反応: 「失われた20年だ!」 若者の感想: 「失われたのは能力では。放っておけばいい時代が戻って来ると言わんばかりの楽観的な表現は慎みましょう。」 過去というものが頭にこびりついている人に、現実を直視させるのは、これも無理なんだと思う。就職氷河期しか知らない僕からすると、過去と比較して今がどう見えるかなど知ったことではないわけで、いちいち煽りに反応する意味はないと思う。彼らは、俺の時代はよかった、よって今の時代は悲惨だと、単に言いたいのだ。それで、いいのではないでしょーか。 まあそんなわけで。 いつの時代も、老人というものは、変化に気づかず、過去と比較して、若者が軟弱だの悲惨だの言って煽りたいものなのだ。でも、彼らと同じ過去の土俵で戦っても何も生み出せない。老人のいう事はそういうものだと割り切って、いちいち感情的に反応しないほうがいい。 逆に、過去の常識との比較ばかりしているから、新しい時代が来たことを受け入れることができず、過去にとらわれて変化できなくなるのだ。むしろ変にそういう遺産が無いことが、若者の強みなのだ。 […]

ボストンで週末に飲茶に行く人集まれ。

新年会に続く、愛のイベント@ボストンシリーズ! 中華料理が好きなら、ボストンの飲茶、安くておいしいですよね。僕もよく行っています。 さてそこで、今度は週末に飲茶を食べに行く人のオーガナイズをするメーリングリストを立ち上げます。その名も、「ボストン飲茶会事件」。うーん、なかなかウザいネーミングですね! 参加資格は「普通にボストンに週末に来れること」です。車で1時間以内が目安です。住所がニューイングランド地方でない方はご遠慮下さい。 まだちゃんと告知をしていないのに、すでに人が集まりつつあります。人数が多かったらテーブルを分割すればいいと思いますので、テキトーに出られる人が出るというぬるい会になるのかなーと思っていますが、今回のオーガナイズのリーダーは平岩くんです(アメリカのコンサルティング会社Navigant Consultingに所属)ので、平岩くんにお任せします。メンバー登録はこちらからお願いします。 それでは、チャイナタウンでお会いしましょう。

日本のチョコレート菓子

最近軽いネタばかりですみません・・・。 この前、アメリカ版のきのこの山とたけのこの里をAmazon.comで買ったのだが、今日Amazonからこんなメールが来た。 アメリカにいながら、アメリカの会社から、日本のチョコレート菓子をすすめられる時代になったか・・・。 いや、どんどんおすすめして欲しい。アメリカのいろんなチョコレート菓子を食べたが、やっぱり日本のが一番おいしい。日本のチョコレート菓子のレベルの高さは世界に広まるべきである! パックでしか売っていないので、必然的に大人買いになるのだが、それもよし。きのこの山・たけのこの里が10個で$17(一個140円ぐらい?)なのは日本より安いので助かるね。ポッキー、プッカ、グミチョコなどもありますな。 あとはおいしいラーメンがオンラインで買えたらいいのになあ。

Verizon iPhone 4 もうすぐ発売

ZipcarのオフィスはCambridgeside Galleriaというショッピングモールの目の前にあるので、ランチついでにVerizonという電話会社のショップに寄ってみた。 明後日にはVerizonからAppleのiPhone 4が発売されるので、デモ機でもあるかなーと思いまして。 こちら、ショップの入り口。 残念ながら、iPhone 4は置いてなかった。置く準備は万端のようだが、まだモノは来ていない様子。 iPadは普通に置いてあったけど。 すぐ横の電気製品の量販店であるBest Buyを通りかかったら、 こんな看板が。VerizonやAT&Tがこんなの作るはずがないので、Appleが作って配っているのだろうな。 これから数日はVerizon iPhone 4ネタで盛り上がりそうだが、どうせ6月にiPhone 5が発表されるだろうし、4G対応かもしれないから、今買うのは得策ではないという見方も多いようだ。 今後iPhoneのVerizon/AT&T戦争がどうなるのか、見ものです。