就職先の人気ランキング
Fortuneで100 Best Companies to Work For が発表された。アメリカの会社にとって、こういうランキングに掲載されるのはとても誇らしいことであり、リクルーティング担当の自慢のネタである。
ところが、日本ではあまりこういう「すでに就職した人によるランキング」はあまり興味をもたれない。多くの人が転職しないので、そもそもあまり重要ではないのかも。代わりに大事になるのが、「新卒の就職先人気ランキング」だ。こういうのはいっぱいあって、これとかこれとかこれとか、いろいろなところが発表している。
そもそも「他人がやりたいことランキング」で仕事を決めること自体が意味不明という話もあるが、そうでなくとも社会人経験ゼロの学生による人気企業ランキングを参考にするのはどうだろうか。自分を振り返ると、大学生時代の自分の思考レベルで将来を決めるなんて恐ろしい。
ちなみに、こうした日本の新卒学生による人気ランキングの傾向と、Fortuneの人気ランキングを比べると、日本の新卒学生のランキングのほうが時代遅れに見える。Fortuneのランキングは、現在をよく反映していると思うし、30代でバリバリ働いている連中から見たらそんなに違和感のないリストに見える。しかし、日本のランキングは違和感ありまくり。「これ、親の世代が考えるランキングじゃないの?」と思ってしまうほど、一昔前のにおいがするのだ。親に相談して決める人が多いから?
このランキングを見たマスコミは、「今の学生はリスク回避型だ」と言っている。でも、僕から見たらむしろリスクが高い仕事ばかりだ。具体的にどの企業がどう、という話をするとまた怒られるので言わないが、僕が安定したいならできるだけ避けたい企業・職種ばかりである。
僕がリスクが高いと思う理由:
- 内需主導型の安定企業なので一見安泰だが、海外展開能力が全然ない上に人口減と共に縮小するしかないので、20年後にはクビになりそう。
- 現在は規制に守られているが、どうせそのうち守られなくなって淘汰される可能性が高い。海外を見ると、大抵規制緩和と共に大量のレイオフが発生する業界。
- まだ何とかブランドを保っているが、内需をターゲットに、同じような競合と価格競争ばかりしているため薄利でイノベーションが遅延し、気づいたら海外企業に淘汰される業界。
- 産業構造がシフトしていくので、これから「中抜き」されて、付加価値自体が消えていくことが明らかな業種。
- 赤字国債が発行し続けられない場合、増税だけで雇用が維持できないであろう職種=公務員・準公務員。
- 40代でクビになったら、再就職できるようなスキルが得られない仕事全般。
むしろリスク回避型どころか、あぶない企業ばかりが並んでいるように見える。もちろん、いいと思う会社も入っているけど。
ぶっちゃけ、「こういう仕事につけば、会社(政府)が守ってくれる」と一見みえる仕事は大抵あぶない。資本主義においては、誰かが守ってくれるというコストは誰かが払っているわけで、そういう不自然なコストを大量に支払っている企業・業界は長期的には不安定となる。
そもそも不安定というのは、「自分のコスト(給料)>自分が世界に生み出すバリュー」になったときに起こる。コストが伸びるなら、バリュー側も伸びなければならない。世界に生み出すバリュー側を伸ばすには、個人のスキルを上げるだけでなく、会社のやっていることに意味がなければならない。会社が変化しながら成長していなければならない。
結局、一番不安定なのは、このランキングにあるような「安定しているように見える」構造的な衰退企業で、与えられた仕事をやっているだけのぬるま湯の状態。皮肉だが、安定したいからと過去にすがり、自己変化を否定するタイプの学生こそが、もっとも不安定な立場にいることになるだろう。どんなに大きく、しっかり安定して回っているいるように見えても、回転速度が落ちていく駒は意外と簡単に倒れることを忘れないようにしたい。
「じゃあ、どの会社に入るべきなの?」という「正解」を欲しがる学生が多い。しかし、そもそも、「自分には正解が与えられるべきだと思っている」、つまり、「魚の取り方ではなく魚が欲しい人」のためにこういうランキングがあるので、そういう人は素直にマニュアルにしたがって、ランキング通りの人生を選べばいい。
一方で、自分で魚が取れるようになりたい人は、主体的に自分がやりたいこと、世界がこれから求めている事などを考えて、自分が求めるスキルを明確にし、そのスキルがきっちり学べるところに入り、継続的に自分がイノベートできる環境を選ぶ。そのプロセスは、こうしたランキングを見ながらどれが安定しているだろうと悩むことよりはるかに難しい。誰も点数をつけて評価してほめてくれたりしない。ぼんやりしていて意味が無いように思える。こんなもの他人に任せたいと文句をいう人も多いだろう。だから、とっても不安な道のりだ。しかも、残念ながら、就職した後もずっと続く。でも、それをやるかやらないかが、長期的にもとても大きな差を生み出すと思う・・・たぶん。まだ僕にも結論は見えていないで、言い切れないんだけど(笑)
でも、ランキングみたいな他人の意見で思考停止せずに、自分で考える力を育てていきたいなと、思っている。
ヨーキチさんヘルプ!!(消し方がわかりません)
いや、むしろソーリー!!
↑のコメント、記事と重複していて恥ずかしいo(T△T=T△T)o
そこのところだけ読み飛ばしていました…(涙)
ヨーキチさんがとなえていることを「別の言い回しで~」なんてのがそもそものアレだったのかも(/_;)
お世話になっております。
ブログに書かれた記事をツイしたいのですが、URLを公開してもよいでしょうか?もし可能でしたら、その際、守らなければいけない事など教えてください。
純粋に古賀さんの記事を読んで、より多くの人に読んでほしいと思っているだけなのですが、気になってしまったので。
よろしくお願いします。
まごころさん
ご自由にどうぞ。本文をまるごとコピーするとかがなければ、自由にして頂いて結構です。