Entries by yokichi

頭がいい人の不幸

昔から、よく人の仕事に関する相談を聞く。相手は、僕とは違い、トップの高校を出て、トップの大学をトップの成績で出て、卒業後にはトップの就職先という、ピカピカのキャリアを実現してきた頭のいい皆様が多く、僕などは話を聞くぐらいしかできないのだが・・・。 こういうエリートといわれる業界では、その華々しい表向きにも関わらず、激務に耐えられず、職場で倒れたり、ストレスで鬱病になって病院に行ったり、家庭崩壊したり、という話をしょっちゅう聞く。こうした異常な状態になったぼろぼろの人は本当に辛そうで、なんでこんな馬鹿げたことが、こんなに頭のいい人たちに起こるのだろうか、と思ってしまう。 一般化は難しいが、これだけ数が多いところを見ると、ひょっとしたら、彼らは頭がよすぎた結果、何が自分を幸せにしてくれるのかを考えるセンシティビティが退化してしまったのではないだろうか。 頭がいい人というのは、幸か不幸か、何でもできてしまう。いい大学やいい会社に入れと親に言われれば入れるし、上司にいい成績を残せといわれれば残せるため、言われたとおりに努力していれば、何でもうまく行ってしまう。しかし、つまづかないが故に、自分が何をしたいかを思い悩み、深く考える機会が少ないように思う。 学校や就職先のランキングも、会社の評価も、自分の市場価格という考え方も、全て「他人がしたいこと」の話である。他人に合わせて生きる事の問題は、「がんばっても他人の無限の欲望を満たす事は絶対にできない」ということだ。無限の欲望を満たそうとするということは、無限に(家庭や夢を犠牲にしながら睡眠不足と過度のストレスの中で体調を壊して入院するまで)働くということだが、自分という資源は有限なので必ずいつか倒れる。自分の幸せを他人の幸せと完全一致できる人間なら会社の利益のために倒れようと死のうとハッピーなのかもしれないが、そんな人はほぼいない。よって、素直に他人の人生を生きている人たちはほぼ例外なく不幸になる。 会社も、上司も、自分を幸せにしてくれるなんて事はない。「成長させてやるから」といって会社に都合のいい人間を作ろうとするだけだ。そりゃそうだ、それが仕事なんだから・・・僕だって部下にはそうするだろう。それなのに、他人に従う事が自分をいつか幸せにしてくれると信じて疑わず、そのまま倒れていくシンデレラ思想の人が多い。 というわけで、いわゆる頭の良い、エリートといわれている人が真っ暗な人生を歩んでいる一方で、全くエリートではない人がとってもハッピーに暮らしているというのは非常にありがちな話である。がんばってもなかなかうまく行かない人というのは、苦労が多い分、他人の評価にとらわれず自分と素直に向き合う事ができるから、ある意味幸せになりやすいのかもしれないね。

英語だとなぜ会話が赤ちゃんレベルになるのか

はい今回も駄文です。 最近は英語にも慣れましたが、アメリカに来たばかりのときは英語で話をするとバカになり、あかちゃんのようになってしまったものです。 その原因は、「日本語でのディスカッション時」と「英語でのディスカッション時」それぞれのケースで、脳内Windows タスクマネージャでCPUがどう使われているかを見ればわかります。 まず、日本語でのディスカッション時。 日本語でディスカッションしているときは、DiscussionStrategy.exe(これから議論がどちらに向かうかを予測しながら相手を説得するために必要な発言を決定するプロセス)に脳のほとんどが使われています。同時に、ロジックも動作しています。言語にはほとんど脳を使っていません。 CPU利用率は58%、これから難しい問いかけが来てもまだCPUには空きがあります。 そして、英語でのディスカッション時。 日本語の時にはほとんど使っていなかったlanguage.exeという言語プロセスが激しくリソースを消費しています。他の知的活動に割り当てる計算リソースがほとんど空いていません。この状態では、脳はほとんど重要なことを考えていないので会話は赤ちゃんレベルに下がってしまいます。 Windowsでいえばビジー(砂時計が回りっぱなしで反応しない)状態であり、難しい問いかけが来るとしばらくフリーズします。なお、ビジー状態が長く続くと発熱や頭痛等のハードウェア障害が起こります。 ちなみにもう3年以上アメリカにいるのでさすがにもう91%は使っていませんが、まだ30%は使っているかも?うーむ。 英語でビジネスの議論をする上で本当に大切な事は、脳のリソースを言語より知的活動に重点配分することです。文法的に正しいバカな事を言うよりも、本質を突いた事を言うことのほうが重要だからです。しかしこれがまだまだ難しい。もっとがんばって、language.exeの利用率を一桁に抑える事が目下の目標です。さっ、コメディ映画でも見るかな? そんなわけで、メリークリスマス! せっかく作ってもらったGlobespanのe-cardがあるのでお暇なかたはどーぞ。

アレルギー

子供の頃からアトピー体質で、まだ少しだけ残っているのだが、日本に帰ると悪化するのでこれは何か特定の原因があるに違いないと、この年にしてアレルギーテストをやってみた。Massachusetts General Hospitalなら何とか原因を見つけてくれるのではないかと。 60回も注射されるという拷問を味わった結果わかったのだが、実は僕は 猫アレルギー 犬アレルギー であることが判明した。子供の頃から猫も犬も絶え間なく飼っていたんですけど!!!家からペットがいなくなったことが無かったから気づかなかった・・・。子供の頃あれだけ苦しんでいたのが愛するペットが原因だったかもしれないとは・・・。どうりでアメリカにいる間は改善するわけである。 僕は猫も犬も大好きなのだがこれではもうペットを飼えないということか。へこむなこれは。金魚でも育てるか・・・。 あと全然関係ないのですが、最近ブログを読んでいただいている人と会った時に「自己紹介の写真では顔がわからない」と苦情を受けるので別の写真にしてみました。MIT SloanのLilacさんには「もっと太っていると思ったので気づかなかった」という言葉も頂いております・・・フン。僕は写真を「撮る派」であって「写る派」ではないので、自分が写っている写真があまりないのだが、これなら顔がわかるかね?目がうつろだが・・・。

Despair!

昨日打ったボールがその日のうちにアメリカ大陸の反対側から打ち返されてきた気がするが・・・それよりも、見よ! ひぃ~、でぃすぺあ~(絶望)ドットえいちてぃーえむえる!!!ね~さん・・・ ちなみこの記事が僕の事を言っているのかどうかよくわかりませんが、「日本は、みんなが問題に直面し、危機感が共有されれば、そこから向上していくのだ」なんて僕は思っておりません。「オメー解決策提示できないんだろ無茶言うな」というところについては・・・ムグゥ・・・仰るとおりでございます。 でも、少なくとも若者い世代には、「日本の将来(今じゃないよ)は終わっている」という問題を認識して欲しい・・・その上で、 1.問題認識・解決→再構築 2.日本を早めに駄目にする→再構築 という2つの選択肢が僕たちの目の前にあると知って欲しい。 日本をとっとと去るのは、2に貢献するので、いいことなのかもしれません。ただ、みんなが日本を出て行けるわけじゃない。僕が言っているのは、1の選択肢も存在するということ。1は、とても難しいし、がんばっても無理かもしれないし、向上などしないかもしれないし、甘いかもしれないけど、やるなら今しかないということです。 どちらにせよ、選択肢がそこにあって、若者たちはそれを選ぼうとしている・・・。先進的な考えを持った優秀な若い世代の選ぶ道が、今、日本の将来を決めようとしているのを肌で感じるよ。 無理かなぁ~、でも、世の中にはあきらめない楽天的な人もいるよね。

日本のイノベーションの課題

先日、今年最後のクレイトン・クリステンセン先生の授業に出たあとに、クリステンセン先生と日本のイノベーションについて話をした。 その時先生は、オフィスの引き出しをあけて資料を取り出し、コピーして渡してくれた。 「Yo、これを読みなさい。私の古い論文だけど、構造上のほとんどはまだ当てはっているから」と言って。The Great Disruptionという記事で、確かに2001年ということで古い記事ではあるが、日本の輝かしい破壊的イノベーションが、今では破壊される側になってしまった事についてまとめられている。 確かに、日本はアメリカおよびヨーロッパのビジネスモデルをことごとく破壊した。アメリカは窮地に立たされたが、その後破壊的イノベーションを継続的に生み出し続けるベンチャー育成のシステムを作り上げることに成功した。中心を担ったのがベンチャーキャピタルであり、ベンチャーキャピタルはリスクを取った投資と経営支援により破壊的イノベーションを先導し、世界的な企業を次々と作るという構造を作り上げた。 一方で、日本は一度破壊的イノベーションにより大企業を作り上げたものの、この流れは一度で終わってしまったのだ。その日本らしい要因を、先生は以下のようにまとめている。 これはまさにその通りであると思う。 アメリカのベンチャーキャピタルで働く者としては、日本での投資の大きな壁は雇用の流動性である。要するに、頭のよろしい皆さんは、人気ランキングに合わせて上から高校を受け、人気ランキングに合わせて上から大学を受け、人気ランキングに合わせて上から就職先を受けて、入ったらそのまま動くことはない。つぶれるリスクがあるようなベンチャーには降臨してこず、大企業の大ビジネスに貢献するイノベーションの研究をせっせとしており、自社の事業を破壊しようなんてことはしないのである。 アメリカのベンチャーの経営陣というのは日本のベンチャーから見たら目玉が飛び出るぐらいスーパースターぞろいであるが、これは事業に失敗しても次の仕事が見つかるからであって、労働市場の流動性の低い日本のベンチャーがそこまで優秀な人材を集めるのはかなり至難の業というかまあ無理である。経営陣のレベルが全般的に低いため、ベンチャーキャピタル産業が育たなくなってしまった。日本にもベンチャーキャピタルが存在することは存在するが、アメリカのように経営のプロがリスクを評価して投資を行い、取締役として社長を指導しながら成功に導く・・・なんてことができるベンチャーキャピタルは皆無である。 クリステンセン先生は、政府の主導でイノベーションを起こすなんて事は無理だと思っていて、それよりアメリカ式のベンチャーキャピタル投資が主導的に産業を変えていく事が現実的だと説いている。アメリカの大手ベンチャーキャピタルとして日本で投資を行っているのはうちとDCMぐらいしかないが、グロービスやアント・キャピタルのように本格的な経営支援ができる日本のベンチャーキャピタルも出てきている・・・まだまだ数が少なすぎるが。日本のベンチャーキャピタル産業を作り変えなければならない・・・というメッセージかもね。

若い世代はキレるべき

雇用規制は、けっこう面倒な問題だと思っています。僕には経済学者のようにちゃんとデータで分析する能力もないので、感覚だけで適当なグラフを書いてみます。きっとすでにえらい人が実際の分析やっていると思いますので価値がないかもしれませんし、実際の線がこんな単純な形なわけもないので正しくも厳密でもない事は前提です。経済理論上正しい事をいう事がこの文章の目的ではありません。 下記は、社会人経験が増えるにしたがって、実力と年収が増えるという当然の感覚を「解雇規制がない状態」と「ある状態」にわけてグラフ化したものです。 まず、At Will Employment (雇用規制がない状態で、双方が即座に契約解除できる) の状態。 景気が普通の時は、実力=平均年収。雇用規制がないというのは、労働市場が公平で流動的であるということです。もちろん、実力さえあれば仕事が守られるということにはならないので、安定はできませんが、しわ寄せは全員にくるので、みんなにとってフェアではあります。 景気が悪くなった時は、実力の市場価格が下がるので、全体的に年収を一時的に低下させることで調整を行わなければならない。 では、日本の解雇規制がある状態。 まず、日本で景気が普通の時。全体の平均をみると、おそらく日本では実力に対して、若い人の給与が低く、経験が長い人の給与が高くなっていると思います。線が重ならない事自体は終身雇用とか年功序列とかに原因があるのでしょうが、ここで大事なのはそういう細かい話ではなく、マーケットメカニズムが働いていないので不公平が是正されずに安定していることそのものです。 そして、日本で景気が悪化した時。これが問題。今は実力以上の年収を貰っている人がその会社を離れるというのは、年収が実力に合ってしまう、あるいは実力不足でそもそも雇われない可能性が高く、非常に非合理的な判断となるため、実力以上の年収を貰っている世代は絶対に辞めない。この状況下でこのシステムを維持するには、社会的立場の弱い若い世代を利用して全体調整をする必要がある。だから、派遣というシステムを拡大して、未来のある若者たちを不公平な立場におき、実力以上もらっている使えないおじさんたちの給与を補填しているのである。そうなると、グラフは以下のような変な形になる。 会社の意思決定を行っているのが全員「実力より年収が高い人たち」である以上、このシステムはどう合理的に考えても旧世代のおじさんたちが生きている以上変わらない。もしも、「長期勤務が競争力の源泉」であるという昔のシステムが今も通用するなら意味はあるが、そんな産業はほとんど残っていない。(自動車?うーん、自動車なんて、遅かれ早かれ、DELLのパソコンみたいに製造業の力が重要ではなくなり、メーカーは安全のための強度計算ぐらいしか強みなくなりそう) ちなみに、こうした未来のない老人を守るために未来のある若者が割りを食うしかないという構造は、雇用だけでなく、年金、保険、税金、赤字国債など、日本全体の政治経済の基本的なシステムとして幅広く採用されています。これらのシステムは、人口が増加していれば維持可能です。(人口増により国内市場が成長を続けている、という場合には少数の老人を多数の若者がより効率よく支える事ができるため)。ところが、人口増がマイナスになると、若者を圧倒的に不幸にします。少人数の若者で、多数の老人の既得権益を支えなければならないからです。この将来の不幸に対する不安は出生率の低下という形で現れると思います(子供とは未来の希望だから)。不公平の補填を僕たち以上にさせられるのはこれから生まれる子供だと思うと、明るい未来を子供に与える自信もなく、現在の自分に投資をしたほうがいいと、なんとなく、判断します。これはとても合理的判断です。 少子化が若者を不幸するという構造は悪循環を生み、少子化スパイラルが発生すると思います。例えば政治。2050年という近い将来には40%以上が65歳以上になりますので、投票権をもつ人の過半数がリタイア同等になります(信じがたいほどにぞっとする数字ですが、人口統計というのはほとんど外れません・・・「すでに起こった過去」がかなり織り込まれているからです)。この老人たちが政策を選ぶとき、若者が割を食い、自分たちが守られるものを優先する事が合理的となりますので、若者の希望はどんどん奪われていきます。そうすると、未来の希望はさらに失われ、さらなる少子化を招きます。経済でも本質的な構造は一緒です。 というわけで、若者がおとなしくしている以上、努力が報われる日など来ません。構造自体をぶっこわす事を目指して反逆しなければなりません。政治でもビジネスでもそうです。政権を若返らせ、イノベーションで大企業をぶっこわし、旧世代のおっさんたちの作った枠組みをぶっ壊す必要があると思います。老朽化した政治経済を、明るい未来を作るために、僕たちの子供たちのために、再構築しなければならないと思います。 今の日本に必要な希望とは、現状のいいところをちょこちょこ見つけて「日本も捨てたもんじゃない」という生ぬるい話ではなく、「日本は終わっているが自分たちならぶっ壊せる」という話だと思います。もう間に合わないかもしれない・・・だけど、今、やらなければ。 というわけで、どうやって日本を破壊するか・・・色々悩んでいるけど、みんなでがんばろうよ。おじさんたちに散々怒られると思うけど・・・こっそりと改革の計画を企んで、足元をすくっちゃおう。賛同してくれるカッコいいおじさんたちもいるはず・・・。2ちゃんねるで愚痴ってる暇があったら、仲間と徒党を組んで逆転の戦略を考えないと!

コメント返信シリーズ 3 (優秀な人はどんどん国外に去る)

シンガポールの証券会社のTakeさんとのやりとり(あしあと帳より) 日本はフェアではない・・・こういった不公平に疑問を感じている世代の海外流出のトレンドはもう止まらないし、もはや不可逆です。既に社会の動きに敏感な人からこうして日本を去っていくことでしょう。 なお、こうした海外に出る人たちを責める気持ちもわかりますが、「自分は日本にいるのだから日本を愛していて日本に貢献している」というのはおかしいと思います。税金の支払いは少ないかもしれませんが、国家サービスだって受けていないのだから、場所は関係ありません。「自分は日本の為に○○をしているが、お前は日本の為に○○しかしていないので、俺はお前より貢献している」というのであれば気持ちはよくわかります。もし日本のためにお互いががんばろうとしているなら、海外に出たからといって色々いうのはどうかと思います。僕だって、お金にもならないのに日本貿易振興機構、外務省、領事館などの方といつも連絡を取り合って、日本をどうやって良くするかという話や提案をできるだけしようと思ってやってきていますし、他の多くの日本人だってがんばっているのですから、海外に出るという人をまとめて裏切り者扱いするのはやめましょう。 また、子供の世代まで考えると、自分が日本を愛していたとしても、日本を捨てるのは普通の家族愛だと思いますし、日本人だって故郷の村や町を離れるのだから、合理的な引越しをもって憎みあうのは辞めて欲しいと思います。 僕には、こうした優秀な人が海外に流出するのが本当にいいことなのか、わるいことなのか、まだよくわからない・・・ただ、あなたに情熱があるなら、海外に流出する事は以外と可能であり、その選択肢が合理的かは、みんながもっとよく考えるべきことです。 take 古賀様、 初めてコメントを寄せさせていただきます。 いつも楽しく「愛の日記」を拝見させていただいております。全くの赤の他人様にコメントを寄せる事が初めてなのもので何を書いていいのかわかりませんが、ご一読いただければ幸いです。 私は、現在MBA受験を検討しており、いろいろと調べている過程で当HPに出会う事ができました。日本のあり方、海外からみる日本の姿に対する古賀様のご意見にいつも「そうだ。そうだ」と勝手に相槌を打ちながら拝読しております。そして、海外で奮闘されている古賀様の姿にいつも勇気付けられています。古賀さんの記事はすべて読ませていただきました。男性からで気持ち悪いでしょうが、ファンの一人です。 私は証券会社の営業畑で8年ほど勤務しています。海外経験としては昨年の12月までの2年間、シンガポールに勤務しており、隣国のインドネシアの華僑富裕層を相手にビジネスをしておりました。昨年末に帰国して、現在は日本の上場企業オーナーに対して運用提案等を行っています。いったん外から母国日本をた後に、帰国後の毎日の生活・仕事で感じるのは、「本当に日本はこのままではまずい」ということです。顧客である日本の上場法人のオーナーと会話をしていても、同等の危機感をお持ちであることを感じます。個人的には、日本の最大の問題点は「フェアネス」がかけている点だと思います。以前滞在していたシンガポールは、資源が何もない小国(日本と一緒)ですが、公平な税制、海外への門戸を開く雇用制度や国民が安心感を持てる年金制度が、世界中から資金、資産を呼び込む土台となっていました。マチュアなステージに立った日本がとるべき施策は、海外から「日本に投資をしたい。資産をおきたい」とアトラクトできるフェアなシステムの導入が必要と思うのですが、現在政府が向かおうとしている所は、それの真逆で「保護主義、社会民主主義」になりつつあることに危機感を感じております。日本を愛する一国民として、残念ではありますが「早めに国外脱出して、そこで日本のためになる事をしよう」と考えています。 勝手な意見ばかり書いて恐縮です。古賀さんの以前の記事で「愛の日記の方向性」を危惧することが書いておられましたが、ぜひ今後も数々のご意見、情報をご提供頂ければ幸いです。 よろしくお願いいたします。 yokichi わ~こういうコメント嬉しいですよ。初めてコメントしてもらったなんてこんなすばらしいほめ言葉はないです。 シンガポールのお話、よくわかります。シンガポールは数少ないストラテジストが政治をしている国だと思いますのでフェアなシステム含め日本はもっとシンガポールから勉強したほうがいいと思います。一方、日本には製造業などの付加価値を生み出す産業が多くあるし、本当の意味での体力はシンガポールよりはるかに高いので、戦略さえあればいけるはず・・・。 しかし、Takeさんの話を聞いても、日本の危機を肌で感じられる優秀でセンシティブな人(likeyou)から順に日本を出て行くというこのトレンドは、すでに上から順に始まっているのを感じます。今は全く顕著ではないだけで誰も気にしていないと思いますが、「となりの田中さんのぼっちゃん、東大をやめて海外にいくことにしたんだって!最近よく聞くわよね~そういう話。優秀な人はみんなでてっちゃうのかしら?」と、奥様たちが井戸端会議をする日が来るでしょうね。

コメント返信シリーズ 2 (解雇規制)

「大人になり切れない中年オヤジ」こと島崎さんとのやり取り(ごめんね、島崎さん 笑) (たった1年で5100万の雇用を生み出すアメリカの雇用流動性)より 雇用の流動性に関しては僕は経済学のプロではないのでお返事が適当かもしれませんが、At will employment (お互い即時に契約解除OK) の強みに関してのコメントです。雇用問題がいかに深刻かは、これからまた書いていきたいと思います。 島崎丈太 確かにアメリカの雇用状況はダイナミックですが、多分、新しく生み出された職の平均給与は無くなった職の平均給与より少し低めなのではないでしょうか? 600万の職が減ったということは、競争率が相当高まったということですよね? しかし確かに「長期的にはこの新陳代謝の高さがアメリカの回復力に大きく影響するだろう」には同感です。 日本の場合、伝統的な上場会社からリストラされて新しい職場に移ると、給与の下がり方(生涯賃金の減少)が非常に大きいので、どうしてもしがみつきたくなるのでしょう。 大学新卒でも内定率6割強、なんていう昨今の状況を見ていると、雇用分野にこそ政府が何らかの指導力を発揮して貰いたいです。 池田信夫さん辺りが似たようなことを繰り返しブログで主張しておられますが、具体的に既得権者を既得権からどうやってひっぺがして流動性を高めるのか、は極めて難しい問題かと。 今日(2009/11/27)辺りの強烈な円高等で経済が一度徹底的に壊れる必要があるのかも知れない、と思ったりもします。 yokichi 島崎さん、 平均給与は仰るとおり経済の影響を受けて全体の平均給与は下がっていると思いますが、僕が個人的に知る限りは上がっている人もけっこういますし、同じ仕事をしている人が転職したかどうかで給与が変わることはあまり聞いた事はありません。 日本で転職した人だけ給料が下がって転職していない人の給料が維持されるという奇妙な事が発生するのは解雇規制が激しいからですよね。解雇規制が激しいと、「実力-その人を解雇できないリスクのコスト-その人とは関係ない、すでに雇ってしまったが解雇できない人のコスト=転職後の最初の給与」になるので、最初の給与が下がります。 が、解雇規制がゆるいAtWill(会社および本人の意思で即雇用契約の中止ができる状態)だと、「実力=転職後の最初の給与」に近くなります。実力が同じなのに社内で給与が違えば安いほうの人はすぐによそに行ってしまうか引き抜かれてしまいますし、採用にはかなりコストがかかるので採用した人が不満になるような条件を提示してすぐ転職されると企業側には大きなダメージですので、At Willの条件ではあまり転職後の給料を下げられないと思います。 僕は政府には期待するのは個人的に嫌いなのですが雇用に関してだけは制度を企業側にゆだね、政府は規制などせずに放置してほしいと思っています。 前回の日記のコメントへの返事にも書きましたが、日本をよくするには「若者の危機感をあおって将来の負債のために割りをくいまくる予定の若者がキレて革命を起こすようにするか、優秀な人がみんな海外に早く出て行って日本を一旦つぶすかぐらいしかできることがありません(日本では、「日本はもう駄目だ」という考えが「主流」になり「誰でも同意する事実」になった時点で、すごい力で立ち直るパワーがありますが、そこまで到達する方法が難しい)。」と思っているので、日本を早めに駄目にできれば立ち直るチャンスがあるかもしれないと思っています。

コメント返信シリーズ 1 (日本は終わっているのか)

最近、ブログへのコメントに色々思うところがあるので、頂いたコメントとその返信ごと載せてみます。(手抜き・・・) 早稲田大学の学生さんとのやりとり(がんばろう!より) 僕は、日本が危ないということを、若い人に感じて欲しいと思っています。それで、どうすればいいのか本気で考えて欲しいと思っています。「日本にはまだまだいいところがある」というポジティブな話が最近よく聞こえてきますが、僕は惑わされないでほしいと思います。こういった問題先送り型のポジティブ思考ではなく、僕たちは問題解決型のポジティブ思考を持っていく必要があります。そのためには、こうした二十歳前後の、力と可能性にあふれた若い人たちに、問題意識を持ってがんばって欲しいと思っています。 Noriyuki はじめまして!早稲田大学学部生で、現在就職活動を開始したばかりの伊藤と申します。渡辺千賀さんのブログで紹介されて以来、更新ごとに拝見しています。 →外から見ていると日本の状況は構造的にかなり終わっている ということに驚いてしまったのですが、どんな風に終わっているのかよかったら教えていただけますか?これから働く企業を選ぶ身として、構造的に終わってしまっていない業界や企業を選ぶ参考にさせていただきたいです! またそれに関連して、古賀さんが今大学生なら、こんな仕事・企業選ぶな~(あるいは日本での就職は勧めないよ!という選択肢も含めて)ということについて、なにかアドバイスいただけないでしょうか? 宜しくお願いします!! yokichi >伊藤さん 「日本はもう駄目だと思う」と思い切り言っているちかさんのブログからいらしているなら、驚いてはいけません(笑)。 その質問にここで答えるのは深すぎて無理なのですが、一言で言うと、過去成功したがもう役に立たない老朽化した政治と経済のシステムの中において、既得権益をもった老人たちが自分のために意思決定するという構造を変えない限り日本は沈むからです。若い世代が既成のメカニズムを本気でぶっ壊せない限り状況は変わりませんから。 僕が学生なら土下座されても航空業界には入りませんし、レコード会社や出版業界またその流通など、デジタル化により確実に死滅する産業には絶対入りませんが、就職先がどこがいいかというのは誰と結婚したらいいかというのと一緒でフィット次第だと思いますよ。 就職活動、楽しんでください。 Noriyuki 親切に教えて下さり、有難うございました! 渡辺さんはじめ、一定期間外国にでて働かれた方の多くがなぜ日本に構造の問題点を指摘されるのだろうと(旅行以外で国外に滞在したことのないため特に)疑問に思っていたので、質問させていただきました。スッパリとした一言、とてもわかりやすかったです。自分の今後の決定に生かしたいと思います! 結婚と同じですか!成長性があって、国外にも目が向いていて、年功序列でなくて、、、、とグルグル考えていたのですが、やはり自分がフィットするかどうかで決めるのが一番なのですね。 相手をよく知るにはとにかくデートしてみるのが一番ということで(笑、会社や人にどんどん会って、就職活動楽しんでみようと思います。 ありがとうございました! yokichi >伊藤さん なぜ僕たちがネガティブかについて。 ちかさんをはじめ、海外に住んでいる人は実は日本のことを日本にいる人より考えていて、飲み会のネタは大体「日本をどうするか」ばかりです。マジです。 これは海外に住んでいる人が海外のほうがいいと思っているからではなく、毎日自分が「日本人である」ということの意味合いを認識しながら生きることを強制されているので、「日本とは何か」をいつもいつも考えているからです。 いろんな視点で日本を分析し続けている間に、日本は既に少子化など異常に深刻かつ手遅れな問題を多く抱えており、50年後に向けて目に見えないところで地盤沈下していることに気づきます。しかし、既得権益のある人たちはどうせ日本が変わるころには死んでいるので自分に都合のいい年金・税金システムを維持しようとして赤字国債でつけを将来に回し、改革を行うことはなく、倒産寸前まで問題を後送りしてきます。となると、こうした負の遺産のつけを払うのは若者になりますが、国内で普通に生活している多くの若者にはこういう構造がわからないので反逆も起こりません。ただ、がんばっても報われないという事実になんとなく気づきはじめると希望を失いますが、こうしたものは出生率や経済の効率に長期的に影響を与え、日本はゆっくり沈没していきます。 それで、僕たちは色々日本を変える方法を真剣に模索しているのですが、日本の上層にある「日本の改善より自己保身を考える既得権益にすがる人」の壁がかなり高い。 こうなると、若者の危機感をあおって将来の負債のために割りをくいまくる予定の若者がキレて革命を起こすようにするか、優秀な人がみんな海外に早く出て行って日本を一旦つぶすかぐらいしかできることがありません(日本では、「日本はもう駄目だ」という考えが「主流」になり「誰でも同意する事実」になった時点で、すごい力で立ち直るパワーがありますが、そこまで到達する方法が難しい)。 ただ。少なくとも誰かが「もう日本はだめだ」といわない限り変化のための危機感をあおれないため、「日本はもうおしまい、捨てたほうがいい」というしかない言います。本当におしまいにしたいと思ってはいませんが、僕たちにはそう発言する必要があるから言わざるをえない、と思って下さい。 ところで、就職先がどこがいいのかというのは、伊藤さんが誰で、何がしたいか、次第なので、人気就職先ランキングを上から受けていくような事をすることだけはやめたほうがいいと思いまーす。 Noriyuki 自分のように見ず知らずの学生に、時間を割いて詳細に書いてくださり、重ね重ねありがとうございます。ブログのタイトルどおり、古賀さんの日本への「愛」をビンビン感じました笑 実際に海外で本格的にご活躍されている方から、このように深い思い・考察を語っていただいたことが初めてだったので、大げさかもしれませんがものすごい感銘を受けました! 大前研一さんはじめ、多くの方の書籍やネット上の情報から、「日本はだんだんダメな方に向かっている」という事実はわかっているつもりだったのですが、今回古賀さんのコメントを拝見するまで、その問題を自分に関係する身近なこと、自分にリアルに影響を及ぼすこととして捉えられていなかったように感じます。 古賀さんの文章を繰り返し読み、もう一度「日本はもう終わりだと思うので、海外で勉強して働こう」「国や組織はどういうときに悪くなるか」という千賀さんの記事、それに関連するコメントを熟読してみた結果、日本には古賀さんがおっしゃるような大きな閉塞感、暗い未来があることが自分の中でよく理解できたように思います。 さらに、(大まかに見て)実際に国外で働いている・いた人がそのような見方に賛成する一方、日本ですでに働いていると思われる方のコメントには反対するものが多数であるという事実が、「内にいては問題がみえにくい」ということを顕著に示していて、「内」しか知らずに「そうはいっても日本のなかに閉じこもっていても、割と楽しい人生が過ごせるのでは?」と安気にとらえていた自分が間違っていることに気づけました! 大学に入って日常会話程度の英語ができるようになって、「仕事をするなら国外に行けるチャンスがあるものにトライしてみたいなー」とぼんやりと考えていたのですが、まだまだ柔軟な20代の今のうちに、なんとしてでも出てみるべきだと考えが変わりました! 就職活動の、自分が誰で、何がしたいかということは、学部で経済学をうっすら勉強しただけの自分は、まだまだとても希薄だなと切に感じています。夏休み以降、現にいろいろな業界を見ているのですが、1日のセミナーや、2,3日のインターンだと仕事の理解にも限度があり、この仕事やってみたいな!というものにまだ出会えないでいます。 ただ今回いただいたアドバイスで、ひとつ外せない「国内で閉じない仕事」という選択基準を持てたので、興味のある会社にしぼって長期間インターンを頼んでみるなど、もっと仕事をしる手段を探してみようと思っています。 貴重なアドバイス、本当にありがとうございました!オバマさんのノーベル賞ではありませんが、古賀さんの本気のアドバイスを”call to action”と受けとめて自分の行動につなげたいと思います。 yokichi 伊藤さん 確かに「日本は駄目だ」とかいうと国内の人にものすごく怒られますよね。日本を捨てたお前に何がわかると売国奴扱いです。大前さんの空気の読めなさとかも半端ではないですが、ちかさんも空気を読まずばっさり切り込むタイプの人ですから反論は多いですが、空気読みながら改革とか絶対無理ですからね。変化を起こした人で、空気を読める人とか知らないし。 インターンやアルバイトを幅広くするのはとてもお勧めです。僕も自分が何になりたいのかとかよくわかりませんが、学生時代に自分の軸が定まるまでもっと沢山いろんなバイトやインターンをしておけばよかったと思っています。もちろん、機会を見つけて海外に出るのもお勧めです。 学生のみなさん向けのメッセージは沢山コラムを書いたので、ヒマならぜひ読んでください。 かきもの 特に、自分で決める勇気が仕事を選ぶ上では大切だと思います。

日本発グローバルを達成するために必要な5つの成功要因 by 高宮慎一

あま~いアイスにさらにチョコレートをかけて食うバカ、Globis Capital Partnersのしんちゃん(高宮慎一、HBS同級生)が、なんかCNETにカッコいいタイトルの寄稿をしているのでご紹介です。Twitterで追え! 日本の会社がグローバルに出るのは基本すごく難しいですが、書いてあるようなことを地道にやっていく必要があると思います。 やはりモバイル周りを語らせるとしんちゃんカッコいいです。あと、こんな連載しちゃうGlobisもかっこいい。 ちなみに僕が思う5つの成功要因はもちろん、1に努力があることと、2に無理が無いことと、3・4がなくて5に削減がないことです。