国籍は税金で買う
前の週末は投資先で働いている友達と遊びに行ってきたのでそのときの話。
友達は、日本に帰化した中国人の方。帰化した理由は、中国のパスポートが仕事上あまり役に立たないからだとのこと。確かに中国の友達と海外旅行すると、その人のせいで僕らまで足止めを食らって面倒だったりするよね・・・。彼女は最初は取得が簡単だからカナダ人になろうとしたけど、カナダのパスポートは台湾などアジアに旅行するときに不便だから、結局日本のパスポートを選んだみたい。その気持ちはよくわかる・・・僕も日本国籍はそれなりに便利だから切り替えるつもりはないのだが、国籍なんてそのときの気分で何回でも変えればいいと思っているし、東京都の住民票を千葉県に移すのとはあまり変わらないと思う。
そもそも国籍というのは僕らが税金で購入している商品なんだから、国の価値は、税金一円当たりの満足度のリターンで決まるべきだし、政治家や、警官・
教員などの公務員のサービスの品質が気に入らないないなら別の国のサービスを買えばいいと思う。逆に、どうせ僕たちが買っているものはもとから輸入品ばかりなのに、国のサービスだけは黙って甘んじるしかないなんて変。もちろん現実的には簡単ではなくて、日本の場合は英語教育のレベルの低さ、海外に興味を持たせない報道、二重国籍の不認可などによって国籍の囲い込みしているから面倒・・・ナンバーポータビリティ以前は面倒すぎて携帯会社が変えられなかったけどそれに似てる。しかし、無理ではない。
国籍を変えると、故郷愛がないのかとか、自分を育ててくれた国に貢献しないのかとかいう話も頭をよぎるが、良く考えると一概にそうとは言えないと思う。国籍を変えたら故郷愛がなくなるなんて、人間の心はそんなに単純じゃないと思う。国籍がなくても、政治的にも、経済的にも、貢献なんていくらでもできるし、ユニークな立場だからこそ貢献できる事だってある。日本に育てられたのだから恩を返さないとと思うのもわかるけど、これも紙面で国籍の登録事項を変更すると、お世話になった人や環境に恩が返せなくなるとは限らないと思う。
逆に、日本国籍さえあれば日本に貢献しているとも思わない。実際、海外にいる日本人はとても日本のことを心配している人が多いし、日本のために海外からユニークな貢献をしたいと思ってがんばっている人多いのに、そういう人が裏切り者扱いばかりされて、何もがんばっていない日本人が許されるのはフェアじゃない気がする。
そもそも論だが、日本にばかり貢献するのが常に正しいとは思わない。逆に、日本さえよければいいという考え方をすれば、長期的には日本にとってもよくない気がする。むしろ、別の国の為に、あるいは世界の為にがんばる日本人が多少いるというのは、よいことだと思うよ。
かく言う僕は日本国籍のままだが、それは僕が国籍を変えたくなるほど魅力的な他の国をまだ知らないから、という理由だけ。日本に生まれたからという理由だけで、僕がたまたま日本にもっともフィットする人間だと信じるのは危険だと思っている・・・それだけ、世界は広いから。だから、僕も友達を見習ってフレキシブルに考えないとなー。特に子供が生まれてからは、日本の国籍を購入し続けるべきかは悩みどころだ。例えば、2050年には日本人の40%以上が60歳以上になるという中、大量の老人を支えるためにうちの息子は税金をがっぽり抜かれて幸せだろうか。僕個人は日本が好きだから耐えられるが、親としては息子にその考えは強制できないよねえ。