先日、中国の政府系イベントにスピーカーとして招かれ、観光がてら行ってきました。旅費全部出してくれるというので・・・。
シンガポールの時と同様、数日しか滞在していないので、今回も断片的な情報をもとに、独断と偏見に基づく意見を書きますので、ごめんなさい。
天安門ね
さて、実は本土に行ったのは初めてだったのだが、すごい国だわ。中国。
まず驚いたのは、大気汚染が半端じゃない。まず天安門に行ってみたのだが、あまりに暗くて晴れてるのか曇っているのかもわからないし、まわりの建物は全部白く曇っている。
日にもよるみたいですが。僕がいたときはひどかったのかも。
昼間の太陽が、肉眼でオレンジ色に見えます。慣れてわかったが、太陽の輪郭がきれいに見えるときが「晴れ」ぼんやりしているときが「曇り」と見た。どっちでも暗さは変わりませんが。
注)昼間です
で、週末に、万里の頂上に人間観察に行ってきました。
万里の頂上も白いなオイ。
まず、万里の頂上行きのバスが見つからない。政府が運用しているバスと同じ番号を書いた偽のバスがあるし。で、なんとかバスを見つけて列に並んでみたものの、バスのドアが開くとみんながみんな割り込もうとする。列に並ぶ意味がないな・・・とにかく、このままではバスに乗れないことに気づき、中国人を押しのけて割り込んでみました。この国ではいい人を気取っていたら、個体として弱すぎて生きていけないと思う。郷に入っては郷に従えだ、どけどけーい。
思うんだけど、相手を信頼せず、押しのける、というのは、善悪の問題ではなく、そうしないと生きていけない環境の問題だと思うんだよね。だってバスにすら乗れないならば、あなたは「いい人」つーか「弱者」になってしまう。あなたの前に割り込んだ人は、あなたに感謝なんてしてないと思うし。
さて。
万里の長城についたら、途中で「非合理的な大渋滞」が見受けられます。これを抜けるのはとても時間がかった。何もないところに、突然、全然進まない人間の渋滞があるのだ!
何が非合理的かって?
おじさんが説明しよう!
まず前提知識として、「人がいっぱいいたら、他人を押しのけて自分が最初に抜けられるように割り込むのが当たり前である」という文化を理解してください。
それを踏まえて、ではこの渋滞、どんな構造になってるのでしょうか?
こうです。↓
一般的な中国人の気持ちになってみましょう。人ごみを見たら、あなたはまず最初に、他人を押しのけて割り込むことに集中するのです。ちなみに、一番割り込みやすいのは、いちばん端っこの、反対方向の人がこっちに向かって歩いてる、ギリギリのところです。
では、あなたはこの図でいうところの下から上に上がっているとして、写真を見てみましょう。
左の壁際に、こっち向きに歩いてくる人たちがいますね。そして、僕の進行方向の人(青いストライプの人)の体の向きを見て下さい。このポイントでは、「われこそ人を押しのけよう」と反対方向と進行方向の間にどんどん割り込みが発生しています。こうやって、大人数に押しのけられた結果、反対方向の人は一人分の幅しか確保できなくなっています。
で、30分ぐらいノロノロと歩きます。
するといつの間にか、反対側から来る人の波に、今度は僕たちの方向が右の壁に押しのけられています。
流れの間にいるおじさん、およびその後ろの皆様は人にぶつかりながら無理やり割りこもうと努力中。イテテ
一人分の幅になると、早く歩けるようになるので、ひと段落。
はー、これで抜けられた・・・
しかしこの渋滞、そもそも意味ないですよね。
もしも、人々が割り込むのを遠慮していれば渋滞なんて起こらないわけです。たぶん、日本では決して起こらない問題。
ただし、個人で思慮深く遠慮してもこういった問題は全く解決しないわけで、集団が「割り込むのが非合理的だ」と思わない限りはこの渋滞は回避できない。中国人のみなさんはこういった非合理と日々直面し続けなければならないのだろうか・・・。これは文化の問題なので、変えるのはとても難しいだろうし、大変だ。
あとは、ゴミもすごかったねえ~
ごみの捨て方がすごい。みんな万里の長城からポイポイごみ捨ててる。
こういう、ごみが置けそうなところには、とにかく置きます。
ゴミ箱もありますが・・・見づらいですが、煙出てますね。そのうち発火すると思いますが、それも含めて小さな問題なのだろう・・・
というわけで、万里の長城に行っただけで、すごい勉強になってしまった。中国のスケールはすごいぞ、色々な意味で。
あと、他のところで思ったことは、何ですかね。例えば、
おみやげ物やさんには、Angry Birds (iPhone等のゲーム) のキャラクターのパクリ製品がものすごくあちこちにあるのだがぜんっぜん似てない。僕が作ったほうが100倍似てると思うんだけど・・・似せるのはそんなに難しくないと思うのだが、ちゃんと似てることに価値はないのかもしれない。ちゃんと似てたら訴えられるって?いやいやふつうにタグにAngry Birdsのロゴ入れてるし、訴えられるのなんて全然気にしてないと思うぞ。
繁華街の看板の英語は、単語が完結していない。書いている途中でスペースが足りなくなったのね・・・ちなみに、最後の一文字がEってのが意味不明だ。It’s incredibleと書きたかったなら I だと思うのだが、きっとそれも大した問題ではないのだろう。
子供はパンツもオムツもはいていない。
ズボンに穴が開いてます。コスト削減。
あと、トイレ=タバコ部屋と化している節がありまして、トイレは煙が充満しまくりです。
もはやトイレットペーパーホルダーと灰皿が融合してしまいました。
電車のプラットフォームから地下に降りる階段の前にはブロックがあります。なんだこれ。
想像するに、こういうのをおいて強制的に人の歩くスピードを落とさないと、階段で前の人を押し倒して怪我させたり殺したりしてしまうのでしょうな。
あと、屋台をよく見かけます。
ヒトデって食えるの?
うーむ、よくわからないものがとても多い。
あと、市街地を歩いていて気になったのは、
ネット企業の広告が多いのと、
日本のサービス業やブランドはすごく進出しているということ。がんばれニッポン。
あ、ちなみに仕事もしましたよ・・・一応。
なんかプレゼンして、新聞とかテレビとかの取材とかされましたが、結果は知らんです。
あと、なんども政府の要人と何度も食事します。中国でビジネスする人は、こうやって市長さんとかに気に入られないと、大事なことが何も進まないッス。中国とのビジネスに関しては色々思うところがあるが、まあ、一言で言うと、政治家はいろんなものの「許可」(=拒否)をする権利を持っているので、その交渉力を生かしていろんなことを上手にやっているなーと思います。
食事はとにかく中華料理でした。おいしい。
さて、話をちょっと戻してもいいですか?
例の「謎のS字渋滞」は、中国のいろんな問題を浮き彫りにしていると思った。他人に譲ればバカをみる。しかし譲らなければ、自分も含めてみんなが困るという非合理に直面しなければならない。政府が真ん中にロープを置くとかすれば解決するのかもしれないが、政府もいちいちそんなの相手にしてらんないので、たぶんこういう問題は基本的に放置です。だから、個人レベルではどうにもできない!
ただ悪いことばかりでもなく、「他人は信用できないという前提で、自分がいいように交渉しなければ、生きていけない」という中国人は、交渉能力がとても長けていると思う。これは、ビジネス的には強いわけですな。少なくとも、長期的な信用が大事でないビジネスならば。
中国人がみんな他人を信用してないわけじゃないと思いますが、「ここからここまでは信用するゾーン、あとは全部信用しない」というのが日本人より明確、かつ信用するゾーンはとても狭く、家族・親しい友人以外は、会社も政府も、ほとんど信頼していない気がします。
(まあ、政府も国民信頼してないかもしれないけど。電車乗るのも、手荷物のX線チェックだったし、国民も信用されていないんだなーとしみじみ感じます。)
信頼というのは幸せとかかわりが強いので、日常的に他人を信じられないというのは、あんまりハッピーではないかもしれないとも思う。ただ、数日の滞在で中国人の気持ちがわかるわけではないので、そのへんは正直よくわかりません。
そんなわけで、中国人をモラルが低いと批判するのは簡単だけれども、中国に住んで、中から中国を見てみたら、日本人的にモラルが低いということをするのが合理的というか、唯一の「普通に生きるための選択肢」だったりもするわけです。だから、中国に引っ越したら、自分の価値観もある程度変えなければ生きていけないかもしれない。そういうのも含めて、中国は中から見てみると、ぜんぜん違うものに見えるのかもしれない、と思ったのでした。
とにかく、すごい国だなあと思いました。
ちなみに最近、韓国にも別途行ってきました。ホテルに「オンドル(韓国式の床暖房)部屋」ってオプションがあって、インターコンチネンタルなのに床に布団で寝たのは面白かったです。ベッドよりすごい落ち着いたわ・・・・