お知らせ

こちらは、2007年に明治大学の社内広報誌 M STYLEに連載した「MESSAGES FROM HARVARD」からの再掲になります。

世界を見に行こう

貴重な大学生活を過ごす上で、僕が皆さんに是非お勧めしたいのは世界を見に行くこと。

僕は4年生の時に、オレゴンに交換留学した。その時他国からの留学生から受けた印象深い質問。「あなたは、人間が猿から進化したと信じているの?」

「信じる」?

僕は当たり前のように、科学的根拠に基づく「事実」だと思っていたけれど、進化論が
証明できない僕が、自分を正当化できるだろうか?相手の考えを知りもせずに?この様に、僕とその友人は完全に違う世界に生きていたけれど、新しいことを感じ、学ぶ事が多かった。探し物が見つかった時も、努力して試験に合格した時も神様に感謝しているその友人を見ると、何だか自分のおごりが恥ずかしく思えた。留学中には周りに多様な人がいたので、このように自分の価値観を見直す機会が多かった。

「人間というのは生まれた環境によって行動規範が限定されているから、僕は日本文化というメガネでしか世界を見ることが出来ない。でも、他のメガネからみた世界もきっと素敵なのではないか。相手の文化を理解した上で、言葉や文化の壁を超えた個性とぶつかれば、新しい世界が見えてくるはず。」そう思って人と接するようになった時、僕は人のことだけでなく、日本人や自分自身への理解が深まったと思う。「日本人である自分はこういう事を大切にしたいのだな」と認識した上で、「でも自分の場合はこうして良いかも知れない」と自分らしい価値観を育てられるようになった。

子供は真っ白い状態で生まれ、見て感じたことをどんどん吸収し、自分に持たない言葉や考えを持つ人から学びながら成長し、人格を形成していく。でも、大人になるといつしか学ぶものが減って、時間が経つのが速くなっていく。大学生活というのは、ちょうどそれが始まる時期だと思う。だけど、僕達にはまだまだ知らないことがある。世界に出て多様な価値観と触れ合うことで、僕達はもっと自分らしく、豊かに成長できると思う。そして、いつか僕らが目指す場所が見えるかもしれない。