中間試験中、睡眠不足。

ここ最近日記の更新が遅れてしまった。それもそのはず、中間試験とケース・スタディの嵐で、生きるのが精一杯の毎日だった。まだ中間試験の最中だけどね。

スケジュールを見ると、絶対殺す気だよコレ!と思う。先週は、3ケースの日が3連続で、3ケースの日は授業は夕方の3時から5時に終わる。そこから勉強なので、朝3時ぐらいまで翌日のケースの予習をし、そこから朝方にかけて試験勉強をするという状態。といっても4時間は寝ないと体がもたないので、ケースの準備は力を抜きながら、なんとかやり過ごした。

いやあ、とりあえず半分終わっただけでもハッピー。なんだかんだいって、結構大変だったなぁ。

「寝なくてもいい体力と集中力が持続する精神力がほしい」とつくづく思った。でも自分でも面白いのは、「時間がもっとあったらいいのにな」と思う一方で、「早く時間が経って試験が終わらないかな」とも思う。この微妙なオトメゴコロ!

大変だなあ、と思うときもあったけど、コンサルタントとして仕事していたころに比べたらはっきり言って楽なもんだ、と気楽に考えるようにしている。

忙しい時期は、毎日朝3時から5時ごろまで仕事をし「最近明るくなるのが早くなったな」とタクシーの中から空を見て、2時間ほど寝てから8時に家を出るというのを繰り返していたが、今は4時間は寝られるので体力的にも楽。それに、クライアントの期待を上回る戦略を追求し続ける精神的プレッシャーに比べたら、「自分で責任とればいいんでしょ?」と平和ボケしていても平気なので精神的にも楽。

いやほんと。戦略コンサルタントになりたい方、それなりに覚悟しましょう!(笑)

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うちの前の木。本当は昼間に紅葉の写真を撮りたいのだが、なかなか時間がとれず。

30年前の手紙

両親がボストンに来たとき、父親が古ぼけた封筒を僕に渡してきた。古ぼけて、まっ茶色になった封筒。表には、うちの実家の住所と父の名前が書かれている。

なんと、実家の戸棚の奥に30年以上前に僕宛に書かれた手紙が見つかったという。そんなものが存在していたということも父は忘れてしまっていたらしい。父は、「面白いものがあったぞ」という感じで封筒の中身を取り出して見せた。

「これは、お前の名前を山口喜久一郎さんがつけたときの手紙だ。」

実は、僕は自分の名前を誰がつけたのは知らなかった。名前の意味もよく知らない。子供の頃、誰かがつけた、だけど昔の人なので古臭い名前になった、その人は僕が小さいときに亡くなった、と聞いていた。その人が誰かなんて知らなかったし、母親が「自分の子供なのに名前もつけさせてもらえなかった」と嘆いていたので、僕にとってはあまり思いいれのある名前ではなかった。

それが、どうも僕の名前は祖父の兄である山口喜久一郎さんがつけた、というのだ(ちなみに、おじいさんが婿入りして古賀姓になっているが、もともとはうちは山口の家系)。彼が僕の親戚であることは知っていたが、名づけの親であったことは知らなかった。ちなみに、防衛庁長官だった中西啓介氏は、うちの家系で秘書をやっていて、うちの家系と結婚した人なので、ぼくの直接のおじさんである。

インターネットで調べればわかるが、山口のおじいさんは、国務大臣や衆議院議長などを勤めた政治家であり、本で読むかぎりは豪快な人であったようだ。会った記憶もない、そんな破天荒な祖父の兄が30年前に書いた僕への手紙が、今になって届いた。

問題は、読めないんです。

ひとつは、そもそもなんて書いてあるのかわからない。もうひとつは、読めても昔の言葉なので意味がわからない。国語力がないので・・・。

というわけで、誰か、読むのを助けてもらえませんか。というわけで、ここに載せてみます。ただ、大体わからないでもない。

どうやら、僕が活躍する世代には階級が消滅し、官僚ではなく経済力が権力に代わる実力の時代がくる。そういった新しい時代において、広い心を持ち万人に愛され幸福な人生を満喫するという事を望んで洋吉とつけたようだ。

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志を高く持ち、忍べ、というのが、彼の僕へのメッセージだということだけは、わかった気がする。

山口のじいちゃん、お望みの通りなのか、毎日夜中まで勉強している「忍」の毎日です。でも、自分の「忍」耐力のなさ、未熟さを毎日のように痛感する毎日だから、まだまだこれから。

しっかりと志を高く持って、気を引き締めていこうと思うよ。

両親ズ、ボストンへ。

僕の両親と、妻の両親がいっぺんにボストンに来た。9日間あったので、比較的ゆっくりできただろうと思う。幸い、今は晴れた空がとてもさわやかで紅葉も本当に美しい、ボストンでは最高の季節なので、気候も楽しんでくれたんじゃないかな。

といっても、皆さんは遊びに来ただけじゃなく、僕たちのボストンでの生活がどのようなものか、僕たちが元気にしているかを見に来てくれたのだ。僕は勉強であまり時間がないけど、せっかく来てもらったこともあって、ついつい勉強そっちのけで話し込んでしまった。けれど、なんとか勉強にも支障なく過ごすことができたと思う。

平日は学校を案内したり、近所のスーパー(Shaw’s)や近くのショッピングモール(Watertown Mall)で買い物してもらったり、ボストン美術館を見てもらったりした。週末は僕も一緒に動けるので、一緒にボストンを観光した。お昼はQuincy Marketのにぎやかな雰囲気を楽しみ、名物クラムチャウダーを食べる。お昼はボストン名物Duck Tour(水陸両用車)で、ボストンの観光名所をまわりチャールズ川を周遊した。夜はLegal Seafoodでこれまた名物の牡蠣やロブスター、チャウダーを満喫した。ちょっと歩きすぎて、へとへとになっちゃたけどね。

後半には、サザンアイランドとナイアガラの滝を見て回るツアーに一泊二日で行って頂いた。天気も最高で、スケールの大きな紅葉もとても良かったとのことで、すごく楽しかったと言ってもらえた。うーん、よかったよかった。

でも、僕の父親が最も楽しんだのは、実は僕の授業を参観をしたことだったようだ。世界から集まった学生たちのディスカッションを見た事や、教授と話し握手できたことをとても良い経験だったと言ってとても喜んでいた。根っからの経営者である父からすると、息子がハーバードの学生であることを誇りに思ってくれているのだろうね。それがすごいことなのかどうかはおいておいて、喜ぶ父を見て、30歳になってようやく親孝行のひとつもできたのかな、と思う。日本に帰って、ハーバードのシャツを着て、幼馴染みの悪友たちに「息子の授業を見てきたぞ」と自慢する父の姿を想像すると、なんだかおかしくて笑ってしまうのだった。

ボストン旅行、お疲れ様でした。

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楽しいぞ!アウトレットモール。

今週末は、なんと、4連休なんです。金曜日から月曜日まで、お休み。だんだん疲れてきている僕たち学生にとってはとてもよいリフレッシュ。

というわけで、木曜日の授業が終わってから、久々にデートにおでかけ。行き先は、ボストン近郊のアウトレットモール、Wrentham Village Premium Outlet。車で一時間弱かかるので、ひさびさの遠出です。

おくさんはおでかけということでおしゃれをしている模様♪おにぎりをつくり、麦茶をタンブラーに用意。さらに空のペットボトルにトロピカーナのオレンジジュースを詰める。車に地図とiPodをのせてさあ出発だァ!

9月末を迎えたボストンは、まだまださわやかな気候で、道の広い高速を窓とサンルーフを開けて走っていると、カラッとした風と、広々とした青空がとても気持ちいい!うーん、これでサングラスして犬でも後ろに乗せたら典型的なアメリカ人の出来上がりだな。1時間するとアウトレットモールに到着!平日午後で人気が少なく、得した気分だ。

巨大な駐車場もさることながら、中の広さもすごい。服や靴の店だけでも100店ぐらいありそうだな。といっても、ブランドに疎い僕にはほとんど何の店かもわからないのだった。二人で少しキッチンウェアや寝具あたりを見ただけで1時間ぐらいかかってしまった。フードコート(レストランがいっぱいあるエリア)でおにぎりとクラムチャウダー(ボストン名物!)を食べて一休みしてから、自由行動タイム。僕はナイキ、アディダス、リーボックなどのスポーツブランド店を中心にあちこちまわる。おくさんはブランド服や靴など中心を見て回っていた様子。あれこれ悩んでいるうちに、あっという間に暗くなってしまい、閉店の9時を迎えてしまった。

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リフレッシュのため・・・といいわけしつつ、普段は財布の紐が硬い僕も今日はそれなりに使ってしまいました。にしても、広くて歩き疲れたなぁー。

アウトレットなんか特にそうだけど、アメリカってショッピング楽しいよね。売り場も広くて、品揃えもいいし、フードコートなんかあったりしてご飯も食べられるし。

当選

国民の皆様、

皆様の清き一票のおかげで、クラス委員(の技術委員)に当選致しました!

・・・クラス委員ぐらいで騒ぐなって?勉強も大変だし、これぐらい楽しませてくれ。明大生としては、学力ではなく笑いで勝負するしかないのだ。

クラスの何人かからお祝いのメールももらってしまった。

話さないスピーチとStanding ovation

クラス委員の選挙プレゼンテーションがあった。

プレゼンテーションはクラスの合間の昼間に行われるので、いつもと違ってランチにピザが支給された。みんな、のんびりとピザを食べながら各立候補者の話を聞いて、投票先を選ぶ、というわけだ。(投票自体は後日オンラインで行われるから、まだ結果はわからない・・・。どうなるかなー。)

プレゼンテーターは教壇に立って、一分間のスピーチを行う。一分しかないので、皆簡潔に、インパクトがあるように”なぜ自分に投票したほうがいいのか”を説明なければならない。効果的なプレゼンテーションのために、皆プロモーション用の紙を教壇のプロジェクターから大きなスクリーンに映してスピーチをする。

まずは、プレジデント(学級委員みたいなものだね)候補たちがプレゼンテーションを始める。「僕は○○大学でプレジデントとしてクラスをまとめてきた経験もある・・・そして、僕が当選したら、この3つの事を約束する・・・こういうクラスにしていきたいと思う。みんな、僕に投票してほしい。」クラスのみんなが各プレゼンテーターを拍手で送り出すと、次の候補者の名前が呼ばれる。

そんなこんなで、僕が立候補している技術委員のプレゼンテーションがまわってきた。まずは、競争相手であるSharam君のプレゼンテーションから。

「みんな、僕はコンピュータに詳しいし、何かわからないことがあったら何でも聞いてくれ。それに僕は(Yoより)教壇にすぐに走っていける。」Sharam君は走るそぶりをしたりして、みんなを笑わせる。「みんな俺に投票してくれ!」クラスのみんなは笑いながら拍手。

で、僕の番。

僕が歩き出すと、みんなすごい拍手。うーん、どうやら謎めいた東洋人として、注目を集めているようだ・・・。「Yo! Yo!」と応援の声が聞こえる。僕は声援に答えるように右手を上げながら無表情で教壇に向かう。

教壇に着いた僕は、プロジェクターの台に「ドカン!」と白紙をたたきつける。みな驚いてシーンとなる。プロジェクターに白い紙が大きく映し出される。注目が集まる。

僕は何も言わずに青いペンを取り出し、文章を書き始めた。

VOTE OR BE HACKED
(投票しないとハッキングされるぞ)

皆がどっと笑い出す。

そう、僕は「投票してくれ」などとは言わない。脅しているのだ。(もちろん冗談だけど)

It is up to you.
(投票するかはあなたが決めることです)

ハッキングされて困るのはお前だ、という意味ね。

But I personally kindly recommend you to vote me
(だけど、個人的には親切心から僕に投票したすることをおススメします)

僕は真顔で書き続ける。書くたびに笑いが巻き起こり、後ろでは「He is crazy!」とかいう声が飛び交っている。

for your happy life in HBS for two years.
(あなたのハーバードでの幸せな二年間のために。)

みんなスクリーンを見ながら大騒ぎ。すごい拍手が巻き起こっている。

で、僕は最後のパートを書き直す。

for your happy life in HBS for two years ENTIRE LIFE.
(あなたのハーバードでの幸せな二年間今後の人生のために。)

そして僕は書くのをやめ、立ち上がり、はじめて顔をあげると・・・

クラスの90人ほとんど全員が一斉に立ち上がり、笑いながら拍手喝采!!!
これが、あめりか本場のスタンディング・オベーションってやつだ!!!!

「President! President!」という掛け声の中、僕は両手を挙げて笑顔で席に戻ったのであった。

P.S.

僕だけプレゼンテーション中の模様の写真がないので、ここに乗せられないのが残念。スタンディング・オベーションでみんなが立ち上がったため、カメラマンが僕の姿を映せなかったとのこと・・・。

それはともかく、これで落ちたらどうしましょう。

VOTE OR BE HACKED

クラス委員の「技術委員」に立候補してみます。
他にもクラスでよく発言するやつが立候補しているので、勝てるかどうかはわかりません。

選挙ポスターをつくれ、といわれたので作ってみた。
みんな細かく色々書いていたけど、英語でグダグダ書くのがめんどくさいので、簡潔に。

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(C) NAMCO

プレゼンは金曜日。勝てるかなー?

ちなみに、我が家の写真がそろったので、アップロードしておきました。
みなさん、ぜひ遊びに来てね。

英語ができませんけれども

この年になっても宿題してます。宿題っていうか、予習だけど。

ハーバードの授業はすべてケーススタディで、授業中でのディスカッションでの貢献で評価の半分ぐらいが決まるため、必然的にしっかり予習しないといけない。英語ネイティブの皆さんは、さくっと終わらせている模様だけど、こちとら英語が苦手なので何倍も読むのに時間がかかるわけです。

月曜日 ケース・スタディ 3教科、授業終わったら予習6時間
火曜日 ケース・スタディ 2教科、授業終わったら予習9時間
水曜日 ケース・スタディ 3教科、授業終わったら予習6時間
木曜日 ケース・スタディ 2教科、授業終わったら予習9時間
金曜日 ケース・スタディ 3教科、授業終わったら予習9時間

TOEFLやTOEICで何点取ってもだめだなこりゃ。しょせんNon-Native。

授業中、ディスカッションについていききれないのもきつい。

いいたい事はある。でも、今、何の話を皆がしているのかわからないため、何もいえない。

むかつく。

ということで、先日、クラスのオリエンテーション中、みんなの前で、手を上げてみた。

「正直言って、君たちの言ってることの30-40%はわからん。多くの人は発音がはっきりしないし、ロールプレイとか君たちが何を話しているのか、ぜんぜんわからない。もちろん自分でキャッチアップするけど、今、思ったように貢献できないことはどうにもならないんだ。」

と、90人の前で言い放ってみた。みんな静まり返った。しーん・・・

「それは、君だけじゃない。僕もスラングとかわからなくて困ることがある」と、ブラジル人が続く。

すると、アメリカ人のクラスメートが次から次へと手を上げる。

「僕たちは、もっと言葉に気を使うべきだ。スラングを使うのはよくない。これは、僕たちアメリカ人がグローバルなビジネスをする上でも重要なはずだ。」

「留学生が手を上げた時には、手を上げないようにするというのはどうだろう?」

「教授に掛け合ってみよう」

みんなが色々な提案をしてくれた。もちろん、根本的な問題は解決できなかったけど、僕の意図は伝わり、皆が尊重してくれた。「クラスメートとして、思っていることを正直に言ってくれたことはインプレッシブだ」と、クラス中のみんなが拍手してくれた。

ま、英語、できないけど、いいか。そのうち、何とかする・・・。

でも、逆に英語ができないのに入れたんだから、他の人に比べて英語も学べてラッキーだと思うことにして、今日も英語で、戦います。

留学生のみんな、がんばりましょう!

PreMBA Class of 2008語録

  • 君たちは毎日のように、自分に質問する機会がある。”今日、私は何を学んだだろうか?”(Prof. Carl Sloane)
  • ケース・ディスカッションでの発言において最も重要なのは、正しいことを言うことではない。他の人々に影響を与えることだ。(Prof. John Deighton)
  • 質の高い発言に必要な3つの「i」を覚えておきなさい。inference (推理), implications (示唆), and insights (洞察)だ。(Prof Mukti Khaire)
  • ケースディスカッションの本質は、学ぶこと、そして教える事だ。積極的にミスを犯し、他の皆に教えなさい。(Prof. Anath Raman)
  • 新しいことを学ぶにあたって最も難しいことは、過去を捨て去ることだ。(Prof. Tom Piper)
  • 他の生徒に新しいことを教えなさい。質の高い貢献のために必要な条件のひとつは、あなたが他の誰かの学習をいかに助けたかだ。(Prof. Ananth Raman)
  • 道理をわきまえた人は、ある意見に対して率直に反論できる人だ。(Prof. Sandra Sucher)
  • MBA(または大学院留学)のエッセイ・カウンセラーの選び方

    MBAの受験に必要なものは、TOEFL(英語)、GMAT(論理・読解・数学など)、GPA(大学の成績)、推薦状(普通2通、HBSやスタンフォードなどは3通)、そしてもっとも重要なのがエッセイである。なんで「最も」重要かというと、TOEFL/GMAT/GPAは「高いと合格が決まる」より「低いと不合格が決まる」という要素のほうが強く、最終的に自分を差別化するのはエッセイだからである。

    エッセイとは、大学ごとに指定してくる各種質問に対し、決められた方法で答えていく小論文である。質問のパターンとして多いのは、「なぜMBAが必要なのか」「なぜうちの大学なのか」「あなたはどういう成功をしてきたか」「あなたにとって何が一番重要か」といったオーソドックスなものから、「あなたが経験した倫理的なジレンマと、その解決策を述べよ」とか「あなたは~のような状況に陥ったらどうするか」といったものまで、幅広い。こうした質問自体が、大学のカラーを出していることもある。

    大学側は、こうした質問への回答から、「この出願者はうちの大学にフィットするか」「この出願者は頭が良いか」「この出願者は倫理観があるか」「この出願者は将来成功するか」「この出願者はユニークで、ほかの人にできないような事ができるか」といったいろいろな評価項目から、合否を決定するのだ。

    エッセイはきわめて重要なので、プロのアドバイザーがいると非常に助かる。なぜなら、受験生一人で大学のカラーを分析するのは限度があるし、自分のゴールをクリアにするためのディスカッションパートナーがいるのはとても心強い。もちろん、英語ネイティブの観点から、的確・論理的・情熱的文章の構成を手伝ってもらうことも必要だろう。

    エッセイカウンセラーは、たいてい時給2~3万円ぐらいが相場だ。しかも、複数の大学に出願するので、いろいろ相談している間に100万円ぐらい使うことも普通にある。もちろんこれはとても高い買い物なので、非常に慎重に決めなければならない。僕も、かなりいろいろなエッセイカウンセラーに会った。僕が考慮したポイントはいくつかある。

    ■カウンセラー会社の過去の実績 vs. 価格

    まず重要なのが、実績。エッセイカウンセリングの会社は山ほどあるが、トップスクール、たとえばHarvard Business Schoolへの合格者は全体で毎年10人強しかいないので、トップスクールへの合格者数というのは非常に重要である。しかし注意したいのは、「商業主義の会社はウソをつく」ということ。実は、トップスクールに合格すると、一回セミナーを聞きに来ただけという受験生に、お金を出して「うちのおかげで受かったことにしてくれ」という話をすることがあるので、「ここからハーバードって、本当?」みたいな疑いはある程度持っておいたほうがいい。現実的にハーバードやスタンフォードに合格させた実績で強いのはやはりインターフェース。しかし、インターフェースの場合、「受かりそうな学生を選んでいる」ということはある程度考慮しておいたほうがいいだろう。僕がインターフェースに行ったときは、「お前を入れてやるかどうかは俺が決める事だ。入りたかったら、どうして俺がお前を見なければならないか言ってみろ」と言われた。結局僕のことを見てもいいぞと言われたが、僕には合いそうもなかったし、頭金80万円ぐらいで、誰がエッセイカウンセラーかはお金を払うまで教えてくれないと言われたのでやめた。しかし、金額をかえりみずデバリエ氏に見てもらえる可能性にかけたいなら、見てもらうといいだろう。デバリエ氏の力は本物のようだ。

    結局、実績があるカウンセラーは高いわけで、このバランスの中で、自分がどれだけ人に頼るべきかを見極める必要がある。また、まだ有名になっていないカウンセラーは狙い目である可能性もあるので、実績=実力ではないことも見極める必要がある。というのも、極論を言うと、英語がもとから完璧な場合、もとからトップスクールに受かる実力がある人のエッセイは強い。よって、カウンセラーによる修正がエッセイに与える影響はあまり大きくないし、いなくても合格する可能性も十分あると思う。しかし、トップスクールを目指して努力する人はエッセイの100万円ごときケチらない人が多いので、保険のように高いお金を払うという側面があるので、実績を図ることはそもそも難しいのだ。本質的に、どの程度のサービスにどの程度お金を出すべきかというのは、周りに流されずに判断したい。

    ■カウンセリング方針1: 代筆 or 自筆に修正 or 単なる英語の修正

    これは、ベースの文章を自分で書くかどうか。本来は違反なのだが、代筆をしてくれるエッセイカウンセラーは結構いる。非常に忙しい仕事をしている人の場合は金を積んで代筆を頼んだほうが圧倒的にエッセイを量産できるので、この可能性も考えたほうがいいかもしれない。しかし、代筆もいいことばかりではない。自分で書くと、思考が深まる。となると、面接時、予測していなかった質問が来ても、自分でちゃんと考えているので深みのある返答ができるようになるのだ。時間が許すなら自筆を修正してもらうスタイルをお勧めする。なお、単に英語の修正がいいなら、EssayEdgeを使おう。人によっては、内容に関しても的確なアドバイスをくれるが、そういう人はすぐに独立してしまうので誰がいいカウンセラーかは常に流動的。エッセイエッジ経験者間で情報網を駆使して、いい人がだれかを見つけ、その人を直接リクエストするようにするとお得だ。

    この選択肢は、どれがいいという問題ではなく、どれが自分にフィットするか、である。

    ■カウンセリング方針2: エッセイ内容における信念

    エッセイカウンセラーによっては、「お前のしょうもないバックグランドでトップスクールに入るためには、お前は俺の言うことを聞け」といって、本来やりたくないような将来のゴールを勝手にでっちあげ、自分がやりもしなかったことをオーバーに言い切ってしまうようなカウンセラーもいる。確かに、結果が全てのビジネスなので、合格のためにはそれが正しいのかもしれない。しかし、「私はこんなふうにして世の中の役に立ちたいんです。だから、MBAでこんなことを勉強したいんです」と言ったとき、「ダメだ、つまらないな。それじゃ落ちるから、お前はこういうゴールにしておけ」と一蹴され、それでもあなたは人間として妥協できるか、というのは受験者の価値観次第である。もちろんカウンセラーと受験者のそれぞれがフレキシビリティをある程度もつ必要があるが、超えられない一線がどこで、このカウンセラーとうまくやっていけそうか、というのはある程度会話すればわかるだろう。

    ■カウンセリング方針3: 無理が言えるか

    カウンセリング会社によっては、空き時間を最小化して予定を効率的に埋めるため、「時間枠」を売るタイプもある。これは怠け者の人がペースを維持するには良いのだが、アプリケーションの締め切り直前になって本当に助けてほしい時に、「時間外労働はできません」と言われたらけっこうつらい。

    ■カウンセラー個人の能力1: 統合力

    僕が考える統合力とは、「こんなことを書いているけど、本当はあなたがここで言いたいのはこういう事じゃない?」とか、「このエッセイでこのことを言うなら、別のエッセイでこういうバランスを取ろう」という、エッセイ単体ではなく、アプリケーション全体でストーリーを描き、本質的なフィードバックをする能力。これは、特に初期に自分のエッセイスタイルが確立していないころに助かるタイプのフィードバックだ。全体のデザインがきれいに練れないひとは、統合力が強い人と一緒にやるのは必須。

    ■カウンセラー個人の能力2: 論理的思考能力

    論理的思考能力とは、文章を見て、説得力があるか、あいまいなロジックがないかを見極める力である。自分で書いていると、気づくと自分は内容がわかっているのでロジックを省略してしまうことがある。こうなると、わかりにくい文章になってしまい、評価が下がってしまう。このようにロジックが甘い場合、鋭い指摘をしてくれると、エッセイの完成度が高まるので、非常に助かる。

    ■カウンセラー個人の能力3: クリエイティビティ

    クリエイティビティとは、難しい質問にどう回答するか行き詰った時に面白いアイディアを出してくれたり、同じようなことを言うにも斬新なアイディアを提示してくれたり(たとえば、突拍子もない始まり方で相手の注意を引いておいて、驚きの展開に持っていくというような工夫ができる)する能力。さらに言うと話が詰まったとき「ちょっと考えてからまた連絡する」と言ってアイディア出しにコミットしてくれるという姿勢も含めて、頼りになると心強い。特に、大学ごとにWhy MBAをカスタマイズしたり、ほかの人には楽でも自分にとっては難題のエッセイにぶつかったりすることはよくあることなので、こうした状況を打破するためのパートナーがいることは、とても心強い。アイディア出しが自分でできる人にはあまり必要ない能力だ。

    ■カウンセラー個人の能力4: 解決策提示力

    カウンセラーのフィードバックスタイルとして、「ここがおかしい」という問題指摘型フィードバックと、「ここはこうすべき」という解決策提示型フィードバックとの二つがある。実際には、問題を指摘してもらって自分ですぐに答えが出るという場合は、できるだけ自分でなんとかしたほうが、自分らしいエッセイになるので良いと言える。一方で、問題はわかっているが解決策がわからないときもある。そういうときに「ここがおかしい」とだけ言われると、「わかってるよ!」となって行き詰ってしまうので、必要なときは「ここはこうすべき」と言い切ってくれるのも必要だ。エッセイを一人で書いていて、詰まることが多い人には必須の能力。

    ■カウンセラー個人の能力5: 経験・知識

    大学院には、それぞれのカラーがある上、受験生が受ける大学院は星の数ほどあるわけだ。こうした違いを踏まえて、「この大学にはこういうエッセイを書いたほうがいい」と言うためには、経験に裏打ちされた知識が必要だ。経験の浅いカウンセラーは、「ここはGMATの点が低くても入れるから受けろ」というレベルのアドバイスしかできない場合もある。また、自分がカウンセリングした学生が過去に入った大学院に対し「おまえはここが向いている」と言う(実際には、カウンセラーのエッセイスタイルが合っている大学院なのでそこを受けてほしい)という場合もあるだろう。学生の多様なゴールと、多様なカラーを持つ大学院のマッチングを見るのは楽なことではないので、実績もないのに「大学ごとのカラーに合わせたエッセイが書けます」と容易に言ってしまうカウンセラーを信用しないほうがいいだろう。

    ■カウンセラーの人格

    エッセイを書く、というのは、人生で重要だと思っていることを文章に落としていくと言う、きわめてセンシティブで、精神的な作業である。この作業の中から自分の価値観が見えてきたり、将来が決まったりもする事もあるため、軽い気持ちでやる類のものではない。よって、エッセイカウンセラーは、人生のカウンセラーという側面もあるのではないかと思う。こうしたことを、人間として信頼できる人に頼む事はとてもメリットがあることだと思う。逆に、人格が合わない人とやるのであれば、受かればそれでいいという割り切りが大事だろう。僕は、受験生は結構精神的プレッシャーの中で追い込まれているので、調子がいい時だけではなく、時には落ち込んだりする中でも、自分を理解してくれて、共に歩いてくれる信頼できる人を選ぶことをお勧めする。

    ——

    こんな感じだろうか。ここまで読んでいただけたらわかると思うが、どのエッセイカウンセラーがいいかというのは一概に言えない。なぜかというと、どのエッセイカウンセラーがいいかは、
    ・カウンセリング会社の方針が、あなたの方針にフィットしているか
    ・あなたの弱みが、カウンセラーの強みか(あなたが強いところが強くても意味がない)
    に依存するため、一般的に人気のカウンセラーがあなたに合ったカウンセラーとは限らないからである。だから、人によって評価が違うのは当たり前。人の意見に流されないように注意してほしい。

    という警告をした上で、僕の場合は、江戸義塾のエド先生に助けてもらった。僕の場合は、エド先生の助力のおかげで、最難関であるHarvard Business Schoolに合格することができたので、とても感謝している。エド先生を選んだ理由として、大きく言えば、人間として信頼できたということと、方針がほぼ合った事、それからカウンセラーとしてバランスが取れていたことだろう。細かく言うと、以下のとおり。

    僕的エド先生の評価

    ■カウンセラー会社の過去の実績 vs. 価格
    時給制だったので、とてもフレキシブル!まず多少助けてもらって、気に入ったので継続してお願いした。年末にむけて値段が上がるのでそれなりにお金を使ったが、これはDemand/Supplyの関係からすると仕方がないだろう。また、実績があるのである程度値段が高いのは仕方がない。

    ■カウンセリング方針1: 代筆 or 自筆 or 単なる英語の修正
    エド先生は自筆を修正するタイプ。実は最初は、忙しいので代筆してくれるところを探したが、いいところが見つからなかったという経緯もあった。しかし、自分でしっかり考えたことが面接でも功を奏したので、このやり方で本当によかったと思う。

    ■カウンセリング方針3: 無理が言えるか
    年末年始はかなりがんばって働いてもらいました(笑)。特にHarvard Business Schoolは1.5日だけで全エッセイを見てもらうというむちゃくちゃな状態でしたが、驚くべきことに無事合格しました。

    ■カウンセラー個人の能力1: 統合力
    基本的にこちらの意図を優先するタイプの方なので、あまり「全体像をどんどん提示して頂ける」という感じでもなかったが、意見を求めると的確なアドバイスが頂けた気がする。自分からどんどん質問するとよいと思う。

    ■カウンセラー個人の能力2: 論理的思考能力
    ここはエド先生の強み。客観的なフィードバックがビシバシとくる。ここは僕もそれなりに強いところなのだが、いざとなると助かったことが多々ある。

    ■カウンセラー個人の能力3: クリエイティビティ
    驚きのアイディアが飛び出てくるタイプの方ではないので、ここはやや弱いかもしれない。ブレークスルーするアイディアはどちらかというと僕から提示していた気がする。

    ■カウンセラー個人の能力4: 解決策提示力
    ここも、エド先生は基本的に受験生を尊重するタイプなので、多くの場合は問題視的型。最後に時間がなくてはまり始めたとき、「わかっているから解決策をくれ!」と言ったことがあります。

    ■カウンセラー個人の能力5: 経験・知識
    個人でやっているのに、ハーバード・スタンフォードの実績があるのはすごいと思う。組織ではないので限界はあると思うが、その分リサーチのアプローチは教えてくれたと思う。

    ■カウンセラーの人格
    エド先生はかなり人間ができた方で、この信頼がエド先生に全て託した理由だった。特にこちらがつらい状況でも、いつも元気付けてくれるようなコメントを頂けるのでモチベーションの維持にも助かったし、おかげでいつも楽しくエッセイがかけた。また、受験生の成功に対するコミットメントは本当に素晴らしく、いろいろと幅広く相談できたので、本当に良かったと思う。これからも仲良くして頂きたいと思います。

    ということで、受験生の皆様の参考になればと思います。がんばってください。