ナタリーって誰?

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ナタリー・ポートマンというハーバードの学部卒業生がいる。彼女は、ハーバード時代にスターウォーズという映画にアミダラ王女という役で出演しながら、成績上位で卒業したつわものである。そんなナタリーがスピーチをするためにHBSに来るという。で、スピーチとスピーチ後のレセプションに誘われた。ぼくは映画はみたけど、まったく名前も覚えていなかったし、彼女にほとんど興味なかったのだが奥さんが行きたいというので行ってみた。

世界の60%の人々は貧困に苦しんでおり、約40億人が一日2ドル以下で生活している。信じられないくらい多くの人が、死への恐怖とともに生活しているわけだ。彼女は、そんな貧しい人々や餓えに苦しむ子供たちのために、途上国に投資することで産業を育成するという「マイクロファイナンス」の講義にやってきた(女優として話をしにきたわけではない)。彼女はしっかりとスピーチをし、学生からの質問にもちゃんと答えていた。彼女は単なる「飾り」ではなく、開発投資をちゃんと理解している。

女優というおそらく息の短い仕事をしている人々は、より長期的に成功すべく女優業に専念し、脂の乗っている間にできるだけ収入を増やす努力をするのが常識なのだと思う。でも、ハリウッドスターという誰もがあこがれるような立場に身をおきながらも、彼女は女優業に専念はしていない。女優をやりながらも勉強もがんばり、今は貧困に苦しむ人のために活動するその姿勢を見ると、彼女には一般的な人々が思う「成功」よりも大事なものがあるように見えた。彼女は、自分に「知名度」と言う商品価値があるという事実を客観的に見ていて、単なるマスコットとして見られようとも人々が開発投資に目を向けてくれたらそれで良いというそのプロフェッショナリズムには感服した。ハリウッドで成功したら、華やかドレスを身にまとって社交界で華やかな生活を周りにお届けしたいものだが、彼女は自分が貧困で苦しむ人の国で作業しているビデオを流した。

彼女がスピーチしたあと、僕は彼女と少し話をしたのだが、握手したその手は驚くほど冷え切っていた。彼女は寒い中、薄手のドレスを着てスピーチしていたのだから無理もない。でも、彼女はプロのマスコットでもあり、写真を撮られる存在でもあるので、暖かくて機能性の高い服を着ようとはしなかったのかもしれない。

僕はセレブとかほとんど興味ないせいか、僕からすると、話していても普通の人にしか見えない。でも、その手の冷たさから見えるプロフェッショナリズムに、若くして小さな体に大きな責任を背負う孤高で強いリーダーの存在を感じた。

ちなみにうちの奥さんはナタリーに、「あんた偉いYO!」と言っていた。ナタリーは奥さんの話をずっと聞いてからにっこり笑ってお礼を言っていたが、奥さんは言いたいことがいえなかったらしくへこんでいました。

それにしても、ハーバードでは色々とわけのわからないことが起こるもんだ。企業の社長とかだけではなく、元大統領とか女優とか色々な人と会って話す機会がある。慣れてくるとなんかなんとも思わなくなるが、なんかすごいことな気がする。ということで、こういう新鮮な驚きも書いてみました。

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