自分が一生やりたい仕事

先日、学生さんに「これが自分のやりたい仕事なのかわからない」という話をされた。でも、学生時代は、そういうものじゃない?全然、心配ないと思うなあ。

考えようによっちゃあ、たとえ新卒の大学生が「自分が一生やりたい仕事が見つかった」と言ったとしても、それは離乳食が終わったばかりの2歳児が「カレーの王子様は世界で一番おいしい食べ物である」というのと同じぐらいかわいい話かもしれないよ。それぐらい、普通は、「知っている選択肢の幅が極めて狭い時点でベストな選択肢を見つける」のはとても難しいものだと思う。

というのも、僕が新卒の時を思い出すと、そもそも世の中にどんな仕事があるのかも全然知らなかった。とりあえずいろんな事をやりながら、たまたま学生時代に働いてたベンチャー界隈が戦略コンサルティングやってた人ばっかりだったから、他に何があるのか知らなかっただけだった。まあ面接では知ったような事を言ったが、カレーの王子様レベルだったと思う。

その後社会に出て数年後、多くの人と交流するようになって初めて、世の中にどんな仕事があるのかが「実感として」わかるようになってきたし、学生時点の圧倒的な見識不足と世間知らずっぷりの中では、フィットした仕事を見つけるなんて、どう考えても無理だったことがわかってきた。

そもそも、ふつーに学力に合わせて高校や大学を選んできただけの学生時代の僕は、「無限の選択肢の中で、自分の人生に関して意思決定をする」という経験がなかった。こんな難しいことを、経験も必要な教育もない状態で、トツゼンやれって言われても普通は厳しいでしょう。

社会人だって難しいというのに、大学生や高校生の時点で、ずっとやりたい仕事が見つけるなんて、よほどの天才か何かじゃない限り、ほとんどの人には無理だと思うんだよね。そもそも、やりたい事がいきなり出来る才能があり、かつ実際にやってみても「やりたい」と思い続ける事ができるとしたら、相当ラッキーだと思う。ま、ぶっちゃけ普通は、気の迷いか、親に言われて適当に決めたとか、当時わかる範囲で決めちゃったとか、常人に関してはその程度の話が普通だと思う。

そもそも、一生やりたい仕事なんて、僕は今もわからない。成長するまで価値が見えてこない新しい世界というものがあるのだから、成長し続ける限りはどんどん可能性が広がり続け、新しい魅力的な選択肢について学んでしまう。そして、知っている仕事の種類も、世界が広がるにつれて、今後とも増えていく。そして、世界は想像以上に広い。

だから、僕の場合は、新しい発見の中で、死ぬまで自分の「その時点で知っている限りでの」ベストを探し続けていくしかないと思ってる。「今やっている仕事だけが全て」って思うと、新しいチャンスを見逃してしまうし、概してチャンスというものは、成長してからじゃないとやってこないし見えてこない事が多い。

だから、それなりにやりたい仕事をやるということ自体はできたとしても、そこで立ち止まらず、「もっとやりたい仕事は無いのか?」、という問いに、これからも、ゆっくりと、いつも悩んでいたい。

それから、人というのは、色々な人に出会ったり、色んな新しい事をやってみることで、自分のことがわかるようになる。「自己分析」なんて、内部を考えてわかるものだけじゃなくて、社会人として歩み続ける中で、外部からの刺激で少しずつ深まっていくものなんだと思う。新卒時の浅い自己分析が面接にどう役に立つかなど、まあ細かい話なんじゃないかな。

それに、目の前のことをがんばって、オープンな気持ちで学び続け、それで新しい挑戦に常に興味を持ち続けていれば、自然に次のドアが目の前に現れるものじゃないかな。現れなければ、それまでかもしれないし、それはそれでいいんじゃない?やりたいことがないなら、それはそれで重要な発見だと思うし。しょせん仕事だし。

だから、まだわからないなら、あせらず、ゆっくり時間をかけていけばいいよ。そもそも、「やりたいことがみつからない」なんて、大した悩みじゃないし。「プレステ買ったんだけど、やりたいゲームがない」って、相談されても、別に困ってないじゃん、って思う。それと一緒。困っているって言うのは、「やりたいことがあるのに、できない」って時じゃないかなあ。

ただね、「足るを知れ」なんて言葉と共に、よりよい人生を模索する努力をやめて、「今やっていることで幸せなんだ」と自己洗脳してしまえば、そこで終わりなんだ。新しいドアが現れても、自分で目を背けてしまう。だから、ぼくはそこはちゃんと考えて生きていきたい。大人ぶって、楽しい人生を諦めるなんて、僕は嫌だなー。

まあ、人それぞれ考えはあるだろうけど、僕個人はそういう風に考えている。人生、そんなに一発勝負じゃないよ。まして、まだスタートラインに立ったぐらいの時点でそんなに焦る必要はないんじゃない?

(しかし、ナメちゃいけないけどね。スタートラインは決めりゃすむが、社会人生活ってのは、始まってからの成長と実績との長期的な戦いなんだ。いうなれば、就職活動は、「受験」ではなく、「予備校の選択」にすぎない。「気に入った予備校に入ったからTOEIC満点確実!」なんて話はないわけで、どんな環境にいようと、入った後の成長と実績だけが自分らしい道を作っていくということを忘れないでいたい。)

てなわけで、まずはやってみて、ゆっくり自然体で悩み続けていけば、それでいいと思ってます。


5 replies
  1. torizou
    torizou says:

    昔ミュージシャンのスガシカオさんが「やりたいことが見つからないときはとりあえずお金を稼ぐといいと思う。そうしたら、やりたいことが見つかったときに”でもお金がないからすぐにそこに飛び込めない”という状態を回避できる」と言ってたなああ。

    スガさんは29歳ぐらいまで普通に会社員をやっていたのだけど、29歳の時に突然「そうだ、ミュージシャンになろう」と思い立って、それまで貯めた貯金で1年間家にこもってひたすら曲を作り続ける、という生活をしたらしい。

    お金を稼ぐことだけが目的になってしまったらツマラナイけど、下手に自分探しとかしちゃうよりは、いずれ出会う自分にとってのチャンスに備えてとりあえず稼いどこう、という考え方はある意味正しいな、と思ってます(ので人に相談されたときもそうアドバイスしている)

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  2. 考える人
    考える人 says:

    今大学三年生ですが、就活するか院にいくかの判断力を迫られている時期にこの記事を読んですごいもやもやした気持ちがなくなった。やりたいことはたくさんある中で、一生の仕事を選ばなくてはいけない、そういう考えは間違っていました。まだその世界を見てもいないのに自分が本当にやりたいことなんてわからない、そんな大事なことに気づかされました。やりたいことはたくさんある、その中で目の前にあることに本気で取り組むことが自分の本当にやりたいことを見つけられる起点になる。ありがとうございました。

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  3. 渡邉 雅弘
    渡邉 雅弘 says:

    自分のやりたい事を探すよりも、【自分に求められている事】を探す事をオススメします。やがてそれが自分のやりたい事(天職)になると思います。

    追伸 Bostonを拠点にして、ビジネス展開するのが自分の目標(やりたい事)です。

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  4. 福野泰介
    福野泰介 says:

    カレーの王子様のたとえがステキです!
    自分の食べたい味に、どんどん改良していく感じで
    一生やりたい仕事を創るってのも手ですね

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  5. tmy
    tmy says:

    日本の中にいると社会的な圧力を相当感じる場面が多く、色々な部分で明確なカテゴライズがされていないとまるで社会から排除されたような哀しい存在になってしまう、、という現実を目の当たりにしました。体調不良のため、休養しておりますが焦らなくてよいのだと肩をポンっとたたかれたような軽い気持ちになれました。
    愛がこもったinnovativeなブログ、これからも楽しみにしております。

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