「会社の幸せと個人の幸せ」と幸せの連立方程式
この前書いた「会社の幸せと個人の幸せ」の話だが、これは色々な分野でも適用される考え方である。そして、「結婚生活にも適用できる」というお話をいただいている。上記の絵で「転職」を「再婚」に置き換えられる、という意味だろう。
ちょっと待ちなさい!
前回、最後のほうに「会社をめちゃくちゃ愛している人はそれでいいのかもしれません」と書いた。これは結構重要なのだ。話を長くしたくないからしれっと適当に書いたのだが、ここ
をちゃんと説明しないから意図しない解釈が出てしまうのですな。
今回の話はややこしいのでできれば説明したくなかったが、みなさんに前回のお話をへんな風に解釈して不幸になってほしくないので、今回は前回の日記に捕捉をしてみたい。これはシンプルに説明できません。興味ない人は読むのはやめましょう。
えっと。
上のチャートを結婚の考え方に適用できるかどうかは、人によっては正解でもあり、人によっては間違いでもあると思う。正解と間違いの二つを分ける唯一の条件は、「お互いを愛しているかどうか」だ。お互いを愛している状態、というのは人によって定義が違うだろうから、もう少し説明したい。
通常、どんな生き物でも、純粋に自分の利己のために生きている。しかし、それが唯一適用されないのが、「愛している」という状態である。例えば、愛する人のために命を失った人は数多い。利己のために生きている人間が、どうして命を捨てられるのか?それは、人を愛した瞬間に、生物の根本的なルールに「矛盾」が成立してしまうからだと思う。
これをお絵かきで説明するのは難しいが、またチャレンジしてみよう・・・。
A男さんとB子さんがいますね。(ナイスネーミング!)
A男さんが、B子さんを愛していたとします。A男さんには、「B子さんのために幸せのために、何でもしてげたい!」という気持ちが生まれました。何でもしてあげたいという時、A男さんは、自分の幸せを犠牲にしてもいいから、B子さんを幸せにするために、見返りなく与える事を望んでいます。
そうすると、A男さんの幸せの定義に変化が起こります。
でも、これだけでは結婚は成立しません。B子さんはA男さんが嫌いかもしれません。B子さんは、相変わらず、B子さんの幸せを優先しています。B子さんが悪質なキャバ嬢とか風俗嬢なら、これを利用してお金を巻き上げるでしょう。取引条件が最重要であるビジネスの世界ならば、B子さんにはチャンスです。
しかし、ここでB子さんもA男さんが好きになったら、B子さんの中では何が起こるでしょう?
この幸せの上位交換が起きる状態が、僕がここで言っているお互いを愛しているという状況です。
しかし、これは明らかに矛盾しています。
A男さんの幸せは、B子さんの幸せを優先することでした。でも、B子さんの幸せがA男さんの幸せを優先することに変わってしまったら、話がおかしくなります。A男さんは、B子さんを幸せにするためには、自分自身が幸せにならないといけなくなったからです。
うーむ。では、この後どうなるのでしょう。
でも、お互いを愛しているならば、入れ替わった状態を継続したまま、結局ふたたび幸せの上位交換が起こるはずです。お互いを優先するならば仕方がありません。
結局、
- A男さんにとって:A男さんの幸せ<B子さんの幸せ
- B子さんにとって:A男さんの幸せ>B子さんの幸せ
という、絶対に解けない矛盾した幸せの連立方程式を二人が解こうとすると、幸せの上位交換が起こり続けます。程度の差はあれ、結果として二人は最初一人ずつでいたときよりもずっと幸せになります。
もちろん、この矛盾は本質的に不安定です。どちらか片方が愛情を失い自己犠牲への関心がゼロに近づくにつれて成立しなくなります。しかし、成立するのであればこんなに素晴らしいことはありません。
異常にくどい説明になってしまいましたが、結局以上の説明で何を言いたいかというと、会社と個人では幸せの上位交換を無限に起こす「連立方程式の矛盾」は起こらないと僕は言っているわけです。
どういうことか。
そもそも、僕が言っていた前回の話は、「会社と個人の幸せを連立方程式にしてはいけない」という事です。
会社というのは、お金をもうける取引をするために存在していますので、お金をもうけないという選択肢ありません(つぶれそうになった時に会社員を優先して倒産ということはない)。にもかかわらず、会社は個人が会社を片思いで愛するように洗脳します。つまり、方程式はこうなります。
- 個人にとって:会社の幸せ>個人の幸せ
- 会社にとって:会社の幸せ=会社の幸せ
ということです。
この連立方程式は解けるので、会社が幸せになって終わりです。「会社をめちゃくちゃ愛している人はそれでいいのかもしれません」というのは、洗脳されていなくても、会社を一方的に愛せるならこれでも幸せだ、という意味です。しかし僕は、ビジネス上の取引は愛情のために行っているわけではないと思うので、取引相手と無理に方程式を連立させず対等にすべきと言っただけです。つまり、こうなります。
- 個人にとって:個人の幸せ=個人の幸せ
- 会社にとって:会社の幸せ=会社の幸せ
この方程式は連立していないので、お互いが自立しながら協力することで、それぞれ幸せになりましょう、ということです。前にも書きましたが、こういう考え方はプロフェッショナルではないという意見が多いかもしれませんが、ビジネスの取引の観点ではこれこそがプロフェッショナルであると僕は思います。
難しすぎる?うーんすみません。でもここまで伝われば後は簡単です。
最初に、前回の議論が、結婚の考え方に適用できるかどうかは、人によっては可能でもあり、人によっては間違いでもあると思うと書きました。前回の議論は、あなたの結婚が、それぞれの自己利益のための取引を目的としているなら方程式は連立しません。よって、相手を変えながら個人の幸せを追求することは合理的です。
しかし、あなたの結婚が愛情に基づいているのであれば、適用できません。なぜかというと、お互いが愛し合っているならば、幸せに向かって相手を変え続ける必要はなく、その時点で幸せは達成されているはずだからです。
幸せに向かって相手をステップのように切り替えれば自分自身がより幸せになるという考え方をしている時点で、方程式を連立させていない、つまりビジネスをしているという事実に気づいてほしいと思います。
現実問題として、愛情というのは、最初の時点ではものすごく上位交換が行われるので幸せをもたらしますが、同時にものすごく不安定です。そこから時間とともに安定した場所にまで落ち着き、平穏がやってきます。そしてどこで安定するかは夫婦によってい違います。ですから、全ての結婚について幸せの上位交換がすごいといっているわけではありません。ただ、僕が言いたいのは、前回の文章をもとに、会社と個人の関係を夫と妻の関係に当てはめるのは辞めてほしいということです。
もし、矛盾した幸せの方程式が全然成立していないのであれば、転職するかのように乗り換えればいいやと結論づける前に、「自分が自己犠牲をしているだろうか、もっとできるだろうか」を問うべきだと思います。
お茶会でお話を聞かせて頂いたSotaroです。
会社の幸せと自分の幸せの話をブログで拝見した後に
ロシア人の友人とfacebookを通じて第2次世界大戦の話題になって
そっからロシアと日本が戦争になったらお互いに殺し合うのかな〜って
冗談まじりでメッセージをやりとりしてました。
色んな国に友人がいるので、仮に日本が戦争に参戦することになったら
すぐに現実問題として直面しそうです。
で、唐突な疑問が浮かびました。
「国の幸せが自分の幸せと一致しない場合ってどうすれば良いんだろう」と。
会社は変えられるけど、国籍はなかなか難しいですよね。
かなりでっかい問題ですけど
国際社会で活躍しているyokichiさんは考えた事ありますか?
> Sotaro
んー国籍なんてふつうに変えればいいと思いますけどね。シンガポールなんてちょろいと思いますけどどうでしょう。
大変ですが、大変なのが嫌なら我慢すればいいというだけのことかと・・・。
http://yokichi.com/2009/09/post-228.html