キャリアパスを振り返る(第一話): ココイチバイト

学歴の話をしたら、昔のことを色々考えるって面白いと思ったので、ついでに書き進めてみよう。

大学に入ってからは、することもないので、家から近くて時給の高いバイトを探してみた。そしたら、新宿駅で時給1500円の深夜のバイトを発見。カレー屋のCoCo一番屋というチェーン店が新宿駅前に24時間営業の新規店をオープンするということで、新しいモノ好きの僕は新規スタッフとして参加することにした。

新宿。深夜。その時点で、面白そうだ。

カレーの味が差分でわかるようになる

さて、深夜シフトは長時間労働になるので、連日バイトしたりすると、一日三食カレーになる。毎日、同じようなカレーばかり食べていると、本当に飽きてくる。それで、こっそりカツカレーのカツと、生卵を電子レンジにかけて、カツどんを作って食べたりしてしまうのである。

飽きるというレベルを過ぎると、不思議なもので、味がしなくなってくる。その際に気づいたのが、別のカレーを食べると、「差分」だけの味がわかるのだ。例えば、「あ、これ、トマトの味がする」みたいに、ルーの中の素材の微妙な違いがわかるようになった。ちなみにこのスキルが人生で役に立ったことはない。

ヤクザが多い

夜の新宿にはあぶない人もやってくるのが面白い!一度、ヤクザがやってきて、「卵」を注文してきた。というわけで生卵を出したら、ヤクザのおじさんは「なぜゆで卵ではないんだ、ゆで卵を出せ」と、ものすごいキレてきた。

社員さん「すみません、うちでは生卵を出しているんですよ・・・」

ヤクザ「知るか!カレーに卵といったらゆで卵に決まっているだろう!うちではそうだったんだコラァ!」

僕「(プッ・・・、おまえのお母さんのカレーなんて知るか!)」

ちなみに、別の日にもなんか僕が入る前にヤクザがナイフをもって暴れたみたいで、ナイフをカウンターにさした為にカウンターに傷がついていた。理由は忘れたけど。すごいなーヤクザさんは。

パトカーが多い

よくピーポーいってます。

酔っ払いやホームレスが多い

たまに夜に仕事をあがると、新宿あたりには酔っ払いがウヨウヨいる。ある日、終電前の新宿駅前で、酔っ払いがからんできた。まあ喧嘩になったら勝てば良いわけで、びびらずちゃんと話を聞いてあげた。しばらくすると、酔っ払いのおっちゃんがホームレスの集団のところに僕をつれていって、彼らを罵倒し始めた。そのホームレスの人は明らかにプロのホームレスで、髪も長く、言葉もしゃべらないが、こちらの話は理解しているようだ。なんとなく、家族に持って帰ろうと手に持っていたお土産のカレー(まだあつあつ!)を、「おっちゃん、いる?」とホームレスの方に差し出したら、黙ってうんうんとうなずいて、食べ始めた。横でダンボールにくるまっていた別のホームレスの人が、「にいちゃん・・・ありがとうな・・・」とつぶやいた。

へんなバイトが多い

休み時間中に寝ていると、ライターであぶられて起こされたりする。

ナンパしている人が多い

休み時間は深夜2時から深夜4時の2時間取らなければならなかったので、必然的に暇つぶしに外に出ることになる。

なぜか、終電が終わったのに、靖国通り沿いの信号には若者たちがまだあふれかえっていた。様子を見ていると、信号が変わると、女のこのところに男が寄っていって、がんばってナンパしている。さらに様子を見ていると、「バカだなお前!今の子は絶対行けたんだよ。一瞬立ち止まっただろ、あれは気が弱い証拠なんだよ。あそこで押さなきゃ駄目なんだよ。」と、プチ反省会をしていたりする。すごいプロフェッショナルだなあんたら。

へんなお姉さんが多い

そんなナンパしている彼らを観察して横断歩道の前でたたずんでいると、お姉さんがこっちを見ている。ヘビメタやっている人みたいな格好で、黒のレザージャケットに金属がジャラジャラついていて、なんか怪しげな長い毛のマフラーが垂れ下がっている。化粧がすごすぎて何歳なのかもわからない。こっちをまだ見ている。やばい、なにあの人。あれ、こっちに向かって歩いてきた。ひぇ~、と思いながらも、冷静を装う。

お姉さんは僕の横で立ち止まる。タバコを口からはずし、顔を上に向け、ぷぁ~っと煙を吐き、僕のほうを見下したような目線で、一言。

「ヒマなの?」

ちなみに、YESというと、どんな世界に連れて行かれるのか全く予想がつかないので、「いや、仕事だから」と返事しておいた。今でも、あそこで「ヒマだ」と答えたら何が起こったのかわからない。きっと闇の組織に売られたんだと思う。

おばさんが街角に立っている

歌舞伎町の裏を歩いていると、ハンドバックだけを持ったおばさんが路地に立っている。少なくとも当時19歳の僕の年齢の2倍はある。

おばさんがこっちを見ている。

すごく見ている。

まだ、見ている。

そして、僕が横切る瞬間、一言。

女?」

とりあえず、お金を頂けてもそれだけは許して欲しいと思った。

まあ、そんなのが、東京っ子である僕らしいビジネス・キャリア第一歩である。

※ ちなみに、第二話があるかどうかは、わかりません(笑)。今の仕事までの道のりが遠いので・・・気が向いたら書こうかな。

2 replies
  1. もちだ
    もちだ says:

    学生時代、12月の誕生日の夜に飲み会で飲んでたら終電を逃して、歌舞伎町をさまよっていたことがあります。ゲームセンターで寝てたら怒られました。街角にはやはり自分の倍くらいの年齢のおばさんが立ってました。眠くて寒いので同じ場所をぐるぐる回って歩いていたら、「ばかみたい」といわれました。あとはどうやって時間をつぶして始発に乗ったのか忘れましたが、朝5時頃結構新宿駅に向かう人が多くてびっくりしたのを思い出しました。

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  2. yokichi
    yokichi says:

    それは大変な誕生日でしたね。

    「ばかみたい」ってどんな意味やねんと。あと、あのおばさんの顧客層が知りたい。

    夜の新宿はワンダーランドですね。今はちょっとは変わったのでしょうか。

    Reply

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