時計ビジネスの立ち上げ
前述のとおり、今日はとあるベンチャー・インキュベータ(新しいビジネスを立ち上げるのを専門にする会社)に顔を出してきた。テーマは、超ハイテクな腕時計ビジネスの立ち上げだ。
このインキュベータの会社は、仲良しの同級生が以前一緒に働いていたとある会社の社長さんが立ち上げたもの。日本も重要なターゲット市場ということで戦略のディスカッションを行った。
その同級生に誘われて、Entrepreneurial Marketingの授業と、Building and Sustaining a Successful Enterprise という授業で、このビジネスを立ち上げるにあたっての考え方についての論文を書いたのがことの始まりだ。
腕時計というのは、すでに縮小市場だ。基本的に不要な存在になっている。腕時計でなければならないケースというのはまれで、ビジネスミーティング中に携帯をパカッとあけると「私はとっとと帰りたい」というメッセージを送ってしまうので腕時計がいいとか、スポーツ中でポケットにものを入れられない、というケースを除いては、「時間を確認する」という役割だけなら携帯電話で十分だ。
一方で、腕時計を見れば、その人の個性が大体わかるものでもあるので、単なる時間確認のツールとはポジショニングできない。詳しくは言えないが、おしゃれで、なんでもできちゃう腕時計・・・そんなコンセプトだ。これは面白い。
まあ、ビジネスモデルはいいとして、問題はどう立ち上げるか。製造設備を持つほどの余裕はないので日本の大手メーカーにOEMでお願いしたいところだが、ふつうに頼めばパクられてさようならである。では、投資家として入ってもらうか?今の時点、つまりプロダクトがない時点で話に行けば、かなりこちらの交渉力が下がり、会社のコントロールを一気に奪われてしまう。一方、ベンチャーキャピタルから資金調達するためには、プロトタイプが必要である。しかし、これは初期投資が大きいテクノロジープロダクトであり、プロトタイプレベルのものを作れるところまでもっていくのに投資が必要なのである。特に半導体のカスタマイズにはかなりの投資がかかる。だから、やっぱり日本企業と話にいく必要があるが、どう交渉すればいいか・・・という相談であった。
結局、星の数ほどこんな提案が舞い込んでくるソニーや東芝にこの時点で話を持っていく場合、主導権を維持できる方法などありえないので、この時点ではベンチャーキャピタルを使うことをおすすめしておいた。そこでどうやってベンチャーキャピタルと交渉するかだが、投資家とのコミュニケーションにはちゃんとしたプロトタイプが必要なわけではなく、コンセプトレベルで伝わればいけるはずであり、半導体に強いVCに、実際の装着感(大きさ・重さ)がわかるプロトタイプと、どう動作するかがある程度確認できるプロトタイプ、の2つを持っていくようにアドバイスしておいた。
パートタイムで立ち上げを手伝ってほしいということになったが、これからどうなるかな?
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